『わたくしは……ラクス・クラインです』

ラクス 「ではキラ。わたくしも参りますわ」
キラ 「うん」
アスラン 「ラクス?」
ラクス 「大丈夫ですわ、アスラン。わたくしにももう迷いはありません」

▼ミーアに演説を電波ジャックされた時、カガリは少しも動じていませんでした。苦虫を噛み潰したような表情でしたが、それは『やっぱりこうきたか』とでも言いたそうな雰囲気。
 そしてラクスは「では、キラ」以下の台詞で、ザフトによる電波ジャックは想定の範疇だったことを匂わせています。
 つまり、おそらく、こうなった場合の対策はラクスとカガリの間で既に練っていたものと思われます。
▼さて、今回のカガリの演説は、(SEEDやDESTINYでよく実行される)電波ジャックなどではありません。世界のマスコミを通した国家元首としての公式の会見です。このことは、

キラ 「テレビ、つけていい? カガリが声明を出すんだ。とりあえず意思を示す。後はそれからだって」
カガリ 『オーブ連合首長国代表首長カガリ・ユラ・アスハです。今日わたしは全世界のメディアを通じ、先日、ロード・ジブリールの身柄引渡要求と共にわが国に侵攻したプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダル氏にメッセージを送りたいと思います』

 という一連のシーンで明らかにされています。
 そして、ミーアの演説はそれに対する電波ジャックにより為されました。
 一国の元首の公式会見に非合法な手段で割り込む。
 この時点で良識を持った人々は眉をひそめるでしょうし、『この連中は自分が何をやっても許されると考えているのか!?』と反デュランダル派の反撥心を刺激する可能性だってあります。
 つまり、今回の電波ジャックは下策に近い。
 ですから、カガリの演説を電波ジャックしたミーアの映像を見つめるラクスの表情、あるいは、フリーダムのコクピットの中でミーアの演説を聞きながらキラと視線を交わした時の彼女の表情には──
『予定の範囲内ですわー。でも、まさか本当に実行するなんて、こいつらバカですわー(苦笑)』
という雰囲気がありありと出ていて、見ているほうも思わず微苦笑しちゃうシーンでした。
 実のところ、ラクス自身も前作では当時のプラント最高評議会に対してゲリラ的に情宣活動を繰り返して、結局プラントを出奔せざるを得ない羽目に陥ったのですが、その頃培った教訓を今活かそうとしている感じです。
▼それはさておき、今回のラストシーンはものすごく好きです。
 カガリの傍らでラクスが名乗りをあげる場面。
 何度も何度も繰り返し見てます。

ラクス 『わたくしは……ラクス・クラインです』
議長 「莫迦な……なぜ彼女がオーブに?」

 この場面のラクスの顔がすっごく楽しそう♪ みなさん驚いたでしょう?という感じで。
 今回、ラクスとカガリの仕込んだこの演出は、ザフト首脳等の関係者以外の一般視聴者にとっては思いがけなくも興奮するイベントだったはずで……まあ、基本的にラクスはエンターティナーなのでしょうねー、と。
 何より、優しく見つめあうラクスとカガリの姿が…(以下自粛/笑)。

 (ラクスとカガリの)ふたりなら(混迷の時代を)終わらせることができる?♪

[17-08-15]