「ほんとに何やってんだよ、オーブは!」
シン 「あれがほんとにアークエンジェルとフリーダム!? ほんとに何やってんだよ、オーブは! バカなんじゃないの!」
▼このセリフはアスランが以前シンに対して指摘していた事柄を裏付けるものだと思います。
すなわち、シンが未だにオーブに対して未練……というか「オーブの法と理念」に対して幻想めいた感情を抱いているということを(総集編エディテッドでは、シンとマユがウズミの演説放送を感心したように見ているシーンがありました)。
彼がオーブを本当に見限っているのなら、そして「オーブの法と理念」を心底軽蔑しているのなら、このような悔しそうな表情を見せないだろうし、「何やってんだよ、オーブは」などと苛立ったりせず、もっとドライな反応を示したと思うのです。
心のどこかに未練があるからこそ、オーブの現状が歯がゆくてならないのではないでしょうか。
しかし、それではシンはオーブ(あるいは代表首長としてオーブの理念の体現者であるはずのカガリ)がどのように振舞えば満足するのでしょう。
今のところ、シンはオーブ(又はカガリ)が何をしても、ブツブツと不満を漏らしている印象があります。
かといって、「オーブはこうであるべき」という明確なヴィジョンをシンが抱いているようにも見えません。
シン自身にも自分の求めるものが分からず、それゆえますます苛立ってしまうのかも知れませんね。いわゆる「青春彷徨」に近いのかも。
もっとも、カガリ自身にも己の進むべき道についてよく分かってない印象があるのですが──
「僕達を探してたのはなぜ?」
キラ 「君が今はまたザフト軍だと言うなら、これからどうするの? 僕達を探してたのはなぜ?」
カガリ 「キラ、それは」
▼今作のキラは、はしゃいだり心の底から笑顔を見せたりしない、かなり表情の乏しい少年として描写されています。
戦闘力では他者を寄せ付けぬ最強ぶりを見せていますが、もしかすると、精神的にはもういっぱいいっぱいなのかも知れません。
このことは上記に引用したセリフからも推測することができます。
すなわち──
キラはプラントを「信じられない」と表明しています。
議長のことも「信用できない」と断じています。
ところがアスランはそのプラントの軍隊たるザフトに復帰してしまった。
それも、議長に会いに行った直後にです。
そして、ザフトの立場で自分達の所在を探していた。
これらの事情から判断するなら、上記のセリフの中でキラは「君はデュランダル議長の手先ではないの? ラクスを殺しに来たコーディネイターの特殊部隊と同様に」とアスランに対して不信感を露わにしていると思うのです。
アスランが単なる顔見知りというのならともかく、彼はキラにとって幼い頃からの親友です。
その親友アスランに対してすら疑心暗鬼になっている今のキラ。
また、彼のセリフを聞いていると「○○は信じられない」という言葉が多いことに気づきます。
彼は精神的にかなり追い詰められているのではないでしょうか。
ところで、こうなると、次回予告の中で描かれていたブルブルと震えるアスランの握り拳が気になりますね。何を言われたから、あるいは、何を考えたから、アスランは感情を爆発させようとするのでしょう。
[17-04-03]