PHASE-09感想

▼今回はいろいろと思うところがありました。
・演説に聞き入るジュール隊のシーンでイザークより一段下のポジションで後ろ手を組むディアッカにちょっともえ、とか、
・すごいもみあげの金髪プラント評議員は何者、とか、
・ミリアリアの声が聞きたい、とか、
・砂漠の虎とマリューの関係は?とか、そういえば聖魔のジストの綽名も砂漠の虎だったな、とか、
・何度見ても議長の顔色が悪いなー、とか、
・アスランと一緒にいた眼鏡のスーツの人もえ、とか、
・ジブリールってワンワールド主義者なのか、とか、言ってることが陰謀論マニアみたいですね、とか、
・ピンクの携帯を握り締めて眠る人物と同室であることについて、レイはどう考えているのだろう、とか、
・シン、前々回、君の言った通りの展開になっているのにどうして驚いているの、やっぱりあの時はカガリに絡みたかっただけなの、とか、
・この弾けすぎのラクスはいったい何者?、というか、強化人間のにおいがプンプンする、というか、そうか、コーディネイター自体が強化人間でしたっけね、とか、
・そういえば今日のシンの登場シーン、全部で何秒だったのかな、もうこうなったら議長とアスランのダブル主人公でいっちゃても違和感無いかも、とか、
 まあ、色々考えていたわけです。
 でも、予告で全て吹き飛びました。

 ……ミネルバ、宇宙に戻っている……
 ということは、ついにカガリ放置開始!?
 主人公(シン)と一緒にいるからしばらくは安泰だと思っていたのになぁ……
 もっとも、シンの出ている予告シーンは前々回の使い回しのようでしたから、前作でお馴染みの嘘予告の可能性の方が高いのですが(笑)。

 さて、どうやらプラントはラクスのフェイクとアスラン、すなわちシーゲル・クラインとパトリック・ザラという二大カリスマの後継者を手に入れたようです。
 ラクスのフェイクはどうやら議長が用意したものですし、アスランについてはDESTINYが始まってからずっとアプローチを続けていました。
 つまり、議長には旧クライン派と旧ザラ派を糾合しようという意図があるのだと思われます。
 それでは、一体何のために?
 まあ、ラクスのフェイクに関しては、伝説の歌姫復活ということで(カガリやアスランが前大戦の英雄となっている以上、ラクスにも同様の支持があるはずです)プラント民の士気の高揚やクライン派の糾合、さらに世論の誘導という役割があるでしょう。
 ではアスランを求めた目的は?
 ザラ派の糾合?
 ですが、アスラン自身には道化を演じるつもりなど毛頭無さそうです。アスランの思想は父パトリックのそれとはほど遠い。
 議長が「ザラ派の暴走を防ぐため」という適当な名目をでっち上げてアスランを説き、ザラ派の旗頭に仕立て上げるという展開もありそうですが、ともあれ、次回以降のアスランと議長の絡みがとても楽しみになってきました。
 新しいガンダム(セイバー)も貰えそうですし。
 でも、イザークほどのエースが「セイバー」を乗機にしていないわけで、本来「セイバー」は誰の機体になる予定だったのでしょうね。
 ……前作のフリーダムについても、キラが盗まなければ誰のものになる予定だったのか、実は気になっていたのですが(笑)。

[16-12-11]

PHASE-09感想2

▼昨日の感想では次回予告に使われた「シンの使いまわし場面」について、いつもの嘘予告ではないかと書きましたが、よく考えればあれが嘘予告とならない(=次回、このシーンが本編で使われる)可能性もありますね。
 つまり、あのシンの登場シーンがアスランの回想シーンなら問題はありません。
 使いまわしの元となった場面でシンはアスランに対して「こんなところでアナタは何をしてるんです」と難詰していました。
 議長にセイバーを提供され、乗るかどうか迷った時、アスランがそのシンの科白を思い出す──という感じの演出があるかも知れませんね。

[16-12-12]

「さっさと奴らを討って、早く次の楽しいステップに進みましょうよ」

ジブリール 「世界はね、システムなんですよ。
だからそれを作り上げる者とそれを管理する者が必要だ。
人が管理しなければ庭とて荒れる。
誰だって自分の庭には好きな木を植える。芝を張り、綺麗な花を咲かせたがるものでしょう、雑草は抜いて。
ところかまわず好き放題に草を生えさせ、それを『美しい』と言いますか? 『これぞ自由だ』と。
人は誰だってそういうものが好きなんですよ。きちんと管理された場所、もの……安全なね。
今までだって世界をそうしようと人はがんばってきたんじゃないですか。
街を造り、道具を作り、ルールを作ってね。
そして今、それをかつてない規模でやれる壮大なチャンスを得たんですよ、我々は。
だからさっさと奴らを討って、早く次の楽しいステップに進みましょうよ。
我々ロゴスのための美しい庭、新たなる世界システムの構築というね」

▼ジブリールは自分の目的を「新たなる世界システムの構築」だと宣言しました。
 つまり、彼にとって対プラント戦争はただの踏み台でしかない。
 前回、アスランは「戦うべき敵」が見えてこないと嘆いていましたが、そのすぐ次の回でジブリールが上に引用した言葉を述べている。これは彼のような思想こそが「戦うべき敵」だという製作側からの定義づけだと思うのですが、さて、どのように物語は終結するのでしょう。
 ジブリールと同様の思想を持った権力者など履いて捨てるくらい存在しそうです。
 つまり、たとえジブリール(あるいはデュランダル)を倒したとしても、第二、第三のジブリールが登場するのは明らかなわけで……

▼それはともかく、かつてギルバート・デュランダルは言いました。

「名はその存在を示すものだ」(PHASE-03 予兆の砲火)

 これは製作者からのメッセージのようにも聞こえます。
 「付けられた名前からそのキャラクターの役割が見えるよ」という。

 例えばアスランの父パトリック・ザラ。
 この「パトリック」の名を冠した高名な人物に、アイルランドの守護聖人聖パトリックがいます。
 聖パトリックの名前は普通はラテン語形パトリキウスで知られていますが、もともとは「四人に対する奉仕者」を意味するカスレージCathraigeでした。
 『SEED』の物語の中で「四人」という数字から連想されるのは、「SEED(Superior Evolutionary Element Desined-factor)」を有する前作の四人(キラ、アスラン、カガリ、ラクス)でしょう。
 パトリックは彼らに対する敵対者でしたが、逆に言えば「主役であるこの四人に敵役(あるいは引き立て役)として奉仕する存在」でもありました。
 このように、どうやら『SEED』および『SEED DESTINY』における名前には、様々な暗喩がこめられていると推測されます。

 ジブリールの口にした「ロゴス」となるとかなり露骨です。
 『ヨハネ福音書』の冒頭に、

初めにロゴス(「言葉」と訳される)があった。

 と記されています。つまり、世界の創造こそがロゴスの業。
 そして、ロゴスに頤使される軍人の一人ネオはかつて言いました。

「やがて全てが本当に始まる日がくる。我らの名の下にね」(PHASE-03 予兆の砲火)

 「全てが始まる」=「創造」。
 これは今回ジブリールが口にした言葉とも一致します。
 つまり、戦乱による人類全体の疲弊・混乱とそれを利用した世界秩序の再構成こそが、彼らの目的なのでしょう。

 それでは、何事か企んでいるらしいプラントの議長ギルバート・デュランダル──彼もこのロゴスの戦略に一枚噛んでいるのでしょうか。それともロゴスの存在を知り、それすら利用しようとしているのでしょうか。
 それは不明です。判断するにはまだ材料が足りません。
 ただ、彼は現在のコーディネイター達を二分する政治思想の源流であるパトリック・ザラとシーゲル・クラインの後継者達を手中にしました。
 そして、プラントは前作からの印象ではどうやら血縁が重視される閨閥社会のようです。
 ならば、アスランとラクス(偽者)の立場も自ずと見えてくる……かも知れませんね。

 ここでアルバート・アインシュタイン博士のメッセージ(1922年)の一節をふと思い出しました。

世界の未来は進むだけ進み、その間、幾度か争いは繰り返されて、最後の戦いに疲れる時が来る。
その時、人類はまことの平和を求めて、世界的な盟主をあげなければならない。
この世界の盟主なるものは、武力や金力ではなく、あらゆる国の歴史を抜き越えた、最も古く、また尊い家柄でなくてはならぬ。

 このメッセージは当時のある君主の家系に深く関係するものなのですが、内容の是非は置いておくとして(笑)、以下、とりあえず『DESTINY』に絡めて書いてみます。
 人々が争いに疲れた時、突如として平和のシンボル、世界の導き手が現われるとするなら、それは出来すぎのシナリオです。
 ですが、確かにプラントのコーディネイターにとって、クライン家や(おそらく)ザラ家は尊ぶべき家柄のはずなのです。前作において、反逆者となったラクスのことを「ラクス様」と呼び続けたザフト兵達のことを思い浮かべれば、この推量はあながち的外れでもないと思います。
 ギルバートの脳裏には、偽ラクスとアスランを使った新世界の青写真があるのではないかな、と想像しています。そして議長本人は彼らの黒幕として君臨する、と。

[16-12-16]