PHASE-08全体感想
▼今回のタイトルは junction ──接合点とか連絡駅という意味で、おそらくキラとシンの接触、そしてアスランとカガリの別離を暗喩しているのでしょう。
つまり、junctionで偶々同じ場所に居合わせたキラとシン、junctionから遠く離れて行くカガリとアスラン。
それはさておき。
まずは今回の不満点、というか予想と違った点。
カガリが閣議で言葉責めされなかったこと(笑)。
先週の予告を見た時は、周りからネチネチやられるのかと思ってドキドキしていましたが、やんわりと諭されていただけで、意外でした。
周りから色々無茶なことを言われて泣きべそを堪える姫様がちょっと見たかったのに(笑)。
もうひとつはシンがカガリに絡まなかったこと。一話に一回はシンが噛み付くシーンが無いと何だか物足りないです。シンのシャウトが聞きたい。
今回、印象に残ったこと。
やっぱり指輪の受け渡し。
真っ赤になったカガリ、かわいすぎますねー。
ちょこっと嫉妬してるアスランももえますねー。
そして、ふたりの別離。やっぱりエンディング・テーマはアスカガソングでした。
その後、シャトルで旅立つアスランを見て、
(ふむふむアスラン強制退場でシンへ主役移行。
ガンダムAのCMで「アスランサイドを描く」ってこういうことだったのか。
つまり、コミックでアスランの話、アニメでシンの話という分業体制になる?
でも、キラがまだいるし、そう上手く主役移行できるのかな。
ともあれ、カガリより先にアスランが姿を消すというのは意外意外。
でも、カガリ好き的にはノープロブレム/汗)
という感想を書こうと思ったのですが、次回予告を見て、そんな気分は頭の中からすっかり吹き飛びました。
あのー、来週、アスランが主役みたいなのですが?
もしや来週、エンディング・クレジットで久しぶりに
「アスラン・ザラ」
の名前が先頭に来ちゃいますか?
そうなったら、無印SEED以来二回目の快挙です。
ああ、だけど、アスランが本格的に主役になるということは、次回から早くもカガリの放置スタート!?
……まあ、アスランが主役なのも来週だけなのでしょうけど(笑)。
[16-12-04]
「すいません。変なこと言って」
(飛び去るトリィ)
シン 「慰霊碑……ですか?」
キラ 「うん……そうみたいだね。よくは知らないんだ。僕もここへは初めてだから、自分でちゃんと来るのは。せっかく花が咲いたのに、波をかぶったからまた枯れちゃうね」
シン 「誤魔化せないってことかも」
キラ 「……」
シン 「いくら綺麗に花が咲いても人はまた吹き飛ばす」
キラ 「君……」
シン 「すいません。変なこと言って」
▼他人に噛み付きたいお年頃のシン。
それとも、シンはキラがカガリの血縁であることを本能のレベルで気づいていて、だから何だかむしゃくしゃした気分になったのでしょうか(笑)。
OPにおいてキラVSシンの戦闘があることが示唆されていますが、とりあえず二人の出会いは穏やかなものでした。
ただ、キラにショックを与えて立ち去って行くこの場面のシンは、何だか脇役っぽい……(汗)。
主人公はシンなのですから、普通は「キラに言われたひとことがシンの心に強く残る」という演出になりそうですよね。
▼シンが来た途端に逃げ出すトリィも、声がカガリの声優さんだと思うと何だか楽しいです。
前作でキラとアスランがモルゲンレーテの工場で再会した時、トリィは二人を会わせようとするかのように立ち回りました(キラをアスランの元へ導いた)。
また、ラストではカガリとアスランを宇宙空間に投げ出されたキラの元へ誘導したこともあります。
つまり、人と人を繋ぐ役割をストーリー上与えられているのがトリィです。
そのトリィがシンからは逃げ出した。
これは何を暗示しているのでしょう。
キラとシンの未来は決して交わることがない……ということでしょうか?
▼ところで、キラは言いました。
「ここへは初めてだから、自分でちゃんと来るのは」と。
つまり、誰かに連れて来られたことはあるわけです。
しかし、キラはこの場所が「慰霊」のための地であるとは認識していなかった。目は開いていても外界の情報はほとんど意識を素通りしていたのでしょう。
前作と『DESTINY』の間のキラは『ZZ』におけるカミーユと似た状況だったのかも知れません。生きる気力を失い、自ら積極的に動くことはなかったのではないでしょうか。
そんな彼が、この夕べに自ら慰霊碑を見るべく足を運んだ。
自分の意思でアクションを起こした。
ずっとキラに付き添っていたラクスにとって、それはとても嬉しいことだったに違いありません。
だから、あの場所で歌っていたのではないかと思うのです。
キラが蘇りつつあることが嬉しくて嬉しくて──それを嘉して歌う。
彼女はキラのことが本当に好きなのでしょう。
▼ですが、今のラクスのことを考えると、とても切ない気分になります。
おそらくこの二年、世捨て人のようになったキラに寄り添うようにして、彼を支えてきたのは彼女だと思うのです。それはキラへの想いのゆえ。
ところが、おそらく今のキラには彼女の気持ちに応える用意が無い。
PHASE-04でアスランが戦友達の回想をするシーンがありましたが、あの中でフレイの死ぬ場面も挿入されました。
アスランとフレイは会ったことがありません。前作『SEED』では、カガリからの間接的な情報でしかアスランはフレイのことを知りませんでした。
なのに、アスランは克明にフレイの死ぬシーンを回想していました。
これはどういうことなのでしょう。
思うに、キラからの情報ではないか。
キラが生きる気力を失った日々を送っていたのは、フレイを救えなかった無念の想いもその大きな原因の一つではないかと思うのですが、だとするならば、キラはそのことを親友アスランに何度も繰言のように語っていたとしてもおかしくありません。
何度も何度もフレイを守れなかった後悔の気持ちをキラに聞かされ、それゆえ、アスランにとってもフレイの死は臨場感のあるものとなった。そのことをあの回想シーンは物語っているのではないかな、と思うのです。
つまり、今の気持ちのベクトルとしては、ラクス→キラ→フレイ、ではないでしょうか。
だから、今作のラクスを考えるととても切ない。
すぐ傍らにいる想い人の眼差しは、この世を見てはいないのかも知れないのですから。
ところで、前作のフレイは父ジョージ・アルスターと同じ声の人物ラウ・ル・クルーゼに惑わされたことがありましたが、今作のキラもフレイと同じ声のステラにふらふらとついていったりして(笑)。
[16-12-08]