「ずっとちょっと不思議だった」

タリア 「あれがインパルス…というか、あの子の力なのね」
アーサー 「え?」
タリア 「なぜレイではなくシンにあの機体が預けられたのか、ずっとちょっと不思議だったけど、まさかここまで分かってたってことなのかしら、デュランダル議長には」
アーサー 「かも知れませんねぇ。議長はDNA解析の専門家でもいらっしゃいますから」

▼インパルス授与の時点ではレイの方がシンよりも優れた実績をあげていた。なのにシンにインパルスが与えられた。それがタリアにとって「ずっとちょっと不思議」だった。そういう意味のことをタリアは言いました。
 つまり、タリアとアーサーの会話の結論を別の言葉で言い直すと、「実績や努力よりも遺伝子で将来が決まる」ということになると思います。
 そして、彼らの声のトーンや表情などから判断すると、そのことに対して肯定的です。
 もし彼らのような考え方がコーディネイター社会の中で主流派ならば、この先、戦争に勝ってコーディネイターが世界を支配する時代が到来した場合、超管理社会が実現するでしょうね。
 すなわち、遺伝子の優劣によって生まれた時点で将来が決定される世界。
 インパルスをめぐるシンとレイの関係という実例から分かるように、その世界では努力などは意味を持ちません。

 ここで思い出されるのが前作『SEED』におけるキラとカガリの会話です。

キラ 「 コーディネイターだって同じなのに、みんなと」
カガリ 「……だが、お前達は私達よりずっといろんなことができるだろ、生れつき」
キラ 「ちゃんと練習したり、勉強したり、訓練したりすればね。コーディネイターだからって赤ん坊の頃から何でもできる訳じゃないよ」

 キラは努力こそが優れた能力の源だと考えているようです。
 つまりキラとミネルバクルーの思想は相容れない可能性が高い。
 この人間の在り方に対する解釈の相違がOPに登場するキラVSシンの戦闘シーンの伏線なのかも知れませんね。
 上述したような超管理社会の到来をキラが受け入れるとは思えませんから。

▼ところで、上記のキラカガ会話の引用するついでに強く言いたいことがひとつ。
 どうして、今作ではキラとカガリに会話がないのでしょう。
 否、会話どころか会ったことさえありません。
 前作ではあんなに萌える再会シーンが三度もあったのに。
 カガリがオーブに戻って以来、感動的対面をずっと期待しているんです。

先人達の魂

平和を愛し
最後までオーブの理念を貫きし
先人達の魂
我等
永遠に忘れん

▼カガリが見つめていた墓碑に刻まれていた言葉です。
 英語やその他の文字ではありません。
 日本語で表記されています。
 すなわち、オーブ=日本からの移民者集団で構成された国家、ということなのでしょう。

「ちゃんと戦闘訓練を受けてる連中だ」

マリュー 「コーディネイターだわ」
バルトフェルド 「ああ、それも素人じゃない。ちゃんと戦闘訓練を受けてる連中だ」
キラ  「ザフト軍ってことですか!?」
バルトフェルド 「……」
マリュー 「コーディネイターの特殊部隊なんて最低」
バルトフェルド 「わからんがね。それが彼女を狙ってくるとはな」
キラ  「でも、何でラクスを」

▼「コーディネイターの特殊部隊」と白兵戦を遣り合って、たった二人で制圧してしまったマリューとバルトフェルド。まさに脅威の二人組です。

▼今回のテロリストの黒幕は議長なのか、それとも別の勢力なのか。
 白議長派の私としては非常に気になるところです。
 偽ラクス=ミーアを操る立場の議長にとって、本物のラクスが表舞台に登場した場合、政治的に窮地に追い込まれる可能性もあります。それゆえラクスを亡き者に……というのが、今のところ一番あり得る予想だとは思うのですが。

 

「地下にモビルスーツが隠してあるとぐらい言ってください!」

キラ 「貸して……」
ラクス 「え」
キラ 「なら、僕が…開けるから」
ラクス 「いえ……でも、これは……」
キラ 「大丈夫」
ラクス 「……」
キラ 「僕は大丈夫だから。ラクス」
ラクス 「キラ……」
キラ 「このまま君達のことすら守れず……そんなことになる方がずっと辛い」
ラクス 「キラ」
キラ 「だから……鍵を貸して」

▼この直後、ハロが「何でやねん」と言ってましたが、私も「何でやねん」状態でした。個人所有ですか、フリーダム(笑)。
 新品同様に修理されてるし、どこから資金が出たのでしょう。
 予告では旧アークエンジェルクルーがオーブ軍服(先週オーブ軍の司令室で皆が着ていたものと同じ格好)を着て登場していましたし、もしやカガリルートでの横流し? というか、カガリのポケットマネーだったりして(笑)。

▼さて、このフリーダムの登場シーンを見た時、『Zガンダム』のファンとして大喜びしてしまいました。
 『Zガンダム』には次のような会話があります。

アムロ 「こういう生活を強制されたら、少しは骨抜きの人間になったって仕方ないだろ?」
カツ 「僕らにとって、いえ、母にとってはアムロさんはヒーローだったんです。そんなことを言わずに、地下にモビルスーツが隠してあるとぐらい言ってください!
(第13話 シャトル発進)

 今回、マルキオ邸の地下に隠してあったフリーダムは、まさにカツの夢の具現でしょうね(笑)。

[17-01-08]