放送直後の感想

▼かつて『Zガンダム』という作品がありました。
 この作品は放映開始前は「Char`s counter attack」という副題の付いていた作品で、この名前は後に続編的作品『逆襲のシャア』として蘇りますが、『Z』自体の主役はカミーユ・ビダンだと言われています。現にシャアは『Z』の物語中、何度も放置の憂き目を見ています。
 ところで『Z』のエンディングにおける「声の出演」は第一話から最終話までずっと次のような並び順になっています。
 
  シャア・アズナブル
  カミーユ・ビダン
  ジェリド・メサ
  ブライト・ノア
  ナレーター
 
 これに対して『DESTINY』エンディングの「声の出演」は以下の通りです。
 
  シン・アスカ
  アスラン・ザラ
  カガリ・ユラ・アスハ
 
 『Z』と『DESTINY』で何か共通していると思いませんか?
 本来主人公だと言われていたはずのキャラ、そしてエンディングにおける名前の並び順では明らかに主人公の位置に存在するキャラについて何か感じませんか?
 ……いや、回りくどい書き方はやめましょう。
 キャラクターの物語上の比重という点で(役割という意味ではありませんよ。あくまで物語に占めている大きさという意味です)
 シン=シャア(名目上の主人公)
 アスラン=カミーユ(実質的主人公)
 である気がしてならないんです、今のところ(笑)。
 
 ああ、そういえばラストの方でカガリがシンや議長の言葉を反芻している場面がありましたが、このような描写のされかたって何となく主役っぽくて良いですね♪
 
 ……まあ、今の旧キャラ=アスラン・カガリ偏重は旧作ファンを引き寄せるための撒き餌みたいなもので、カガリがオーブに帰って退場する頃にはシンも主役らしい存在感を持つようになっているとは思いますけれど。
 もっとも、今のままアスランとカガリが主人公で物語が進んでくれても私としては全然かまいません(笑)。
 
 ところで、次回予告で

次回「機動戦士ガンダムSEED DESTINY『星屑の戦場』」その力見せ付けろ、ザク

 と言われていましたが(笑)、もし次回アスランが緑ザクに乗って出撃するようなことでもあれば、『DESTINY』の実質的主人公がアスランだという可能性が非常に高まる気がします。 
 それと、何となくですが、初回及び今回の発言でカガリのモデルとなった人物も見えてきました(これについては整理する時間が必要なので日を改めて)。

「あんなところで大戦の英雄に会うとはね」

シン 「オーブのアスハ!?」
ルナマリア 「うん、あたしも吃驚した。あんなところで大戦の英雄に会うとはね。でも何? あのザクがどうかしたの?」
シン 「あ、いや、ミネルバ配備の機体じゃないから、誰が乗ってたのかなって」
ルナマリア 「操縦してたのは護衛の人みたいよ。アレックスって言ってたけど、でも、アスランかも」
シン 「!」
ルナマリア 「代表がそう呼んだのよ、咄嗟に。その人のことを『アスラン』って。アスラン・ザラ、今はオーブにいるらしいって噂でしょ?」
シン 「アスラン・ザラ……」

▼かわいいですねー、ルナマリア♪
 今回の最萌えキャラは彼女です。
 前回、アスランからカガリの名を聞いた時、警戒するような表情を見せた彼女ですが、実はカガリ贔屓だったみたいで。「大戦の英雄」ですよ、「英雄」。彼女を医務室へ案内している最中も、内心大はしゃぎだったんでしょうね〜。
 以前、冗談で書いたカガリFC、やっぱりプラントに存在するかも知れません(笑)。
 
 それと、彼女はアスランのファンでもあるみたいですね。
 アスランのことを話している時は目がキラキラ輝いていました。
 何しろカガリが「大戦の英雄」なら、アスランは前作のLAST-PHASEで地球の壊滅を防ぎ「人類の救世主」と称されてもおかしくは無い偉業を為した人物ですから当然です。そうでなくともザフトのトップガンだったわけですし、ザフト内部ではかなりの有名人のはず。
 ……古巣で素顔を晒したまま行動して、正体がばれないわけないですね。
 この抜け具合、いかにもアスランらしいです(笑)。
 
 さて、シンはオーブを捨てザフトに、アスランはザフトを捨てオーブへと赴いた人物です。
 この二人はこの後どのように絡んでいくのでしょうか。

[16-10-30]

「さすが綺麗事はアスハのお家芸だな!」

シン 「さすが綺麗事はアスハのお家芸だな!」
 (中略)
レイ 「シン! 申し訳ありません、議長! この処分は後ほど必ず!」
デュランダル 「本当に申し訳無い、姫。彼はオーブからの移住者なので、よもやあんなことを言うとは思いもしなかったのですが」
カガリ 「……」

▼本当に「思いもよらぬこと」だったのですか、議長?(笑)
 シンの暴発を誘うべく、わざわざカガリを彼の前に連れて行ったのではありませんか?
 つまり、他国の人間であるカガリにミネルバを見せて歩き(議長の提案に艦長は戸惑った顔をしていましたよね)、あまつさえMSの格納庫にまで連れて行ったのは、元オーブ国民であるシンの意見を聞かせて、空想的理想主義に毒されかけているカガリの頭を冷やすべく意図した行動のように思えてなりません。
 
 物語的には、この場面はカガリに対する成長促進イベントだと思います。
 つまり、シンの言葉が彼女の胸に深く突き刺さったことはこの後彼の台詞を反芻している場面があることからも明らかですが、これはすなわち、それまで絶対の正義・理想だと思っていた事柄に対する疑問・不審が彼女の心の中で芽生えつつある予兆のように見えるからです。
 現在のカガリの思想の根幹は父ウズミ・ナラ・アスハの薫陶によるところが大きいでしょう。ところが、シンはそれに対し真っ向から非難の言葉を浴びせた。シンの言葉は敵対者からの罵声ではありません。それなら別に気にする筋合いのものではない。元オーブ国民の血を吐くような叫びだったからこそ、カガリの胸に響いたと思うのです(まあ、ほとんど逆恨みのレベルのような気がしますが/笑)。
 そして、これを契機にカガリは色々と物事を深く考え、父ウズミの影をやがて乗り越えることになる。そんな気がしています。
 だから、これはカガリに対する成長イベント。
 「予兆の砲火」という今回のタイトルは、「砲火」=この場面におけるシンの罵声、「予兆」=カガリ(の内面)が変化する予兆、という意味にもとれるのではないでしょうか。
 ……でも普通、成長促進イベントを設けられるのは主人公の特権ですよね。やはり『DESTINY』の真の主人公はカガリ(とアスラン)なのでしょうか?(笑)
 
 それにしてもカガリにシン、直情的すぎます。どちらも大人じゃありませんね〜(笑)。
 ああ、もちろん「大人」じゃないことを非難しているわけではありません。最初から完璧な人間など存在するはずがないし、「コドモ」としての描写があるからこそ、そのキャラクターの成長していく過程を観ることが出来るという楽しみがあるのですから。私がおバカキャラを好きな理由もその辺りにあります。
 
 他方、感情に囚われず動くレイの行動はとてもスマートでした。おバカキャラ以外にこういう系統(FEでいうならセティ系)のキャラも好きですね〜。
 そういえば、レイはザクでガンダムを圧倒していましたし、パイロットとしての能力も現在の赤服の中では最強でしょうか。
 いや、そもそもコーディネイターでニュータイプなわけですから、キラやアスランさえも凌駕する技量の持主の可能性もあります(アスランについてはSEED最終回のヤキン突入時の霊界との交信の描写から(カミーユ型の)ニュータイプ疑惑も存在するのですが、そうなるとコーディネイター+SEED+ニュータイプのアスランがスペック的には最強/笑)。彼こそが放映前のCMで使われていた煽り文句「戦いの遺伝子」の持主なのかもしれません。
 ともあれレイの好感度上昇中。
 ただ、レイがもしフラガ一族の誰かのクローンだとしたら、若すぎる時期の肉体崩壊という悲惨な末路を迎える可能性も高いんですよね(例:SEEDのクルーゼ、Xアストレイのプレア)。
 そういうわけで、レイが「フラガ一族」かつ「誰かのクローンではない」可能性、すなわちムウ・ラ・フラガの庶弟(つまりアル・ダ・フラガの隠し子)であることを希望中です。

[16-10-31]

「アレックス……いや、アスラン・ザラ君」

ギルバート 「名はその存在を示すものだ。ならば、もしそれが偽りだったとしたら」
アレックス 「……」
ギルバート 「それが偽りだとしたら、それはその存在そのものも偽り……ということになるのかな、アレックス……いや、アスラン・ザラ君」

▼PHASE-04でこれに続く会話として、次のような台詞があれば最高なんですが。

アスラン 「今の俺はアレックスです。それ以上でもそれ以下でもない」
ギルバート 「私の前でよく言う」

 もちろんアスランの台詞の元ネタは『Z』のクワトロ=シャアの台詞です(笑)。
 
▼冗談はさておき、議長については声優さんからてっきりシャア(CCAの総帥時代)の役回りだと思っていたのですが、むしろ名雲社長の可能性の方が強いような気がしてきました。今回の議長は名雲社長そっくりの絵になる場面も何度かありましたし、実のところ『DESTINY』の人間関係は『Z』よりも『ZERO』以降の『サイバーフォーミュラ』(福田監督の旧作)の方が似ていると思うんです。
 ちょっと両シリーズを比較してみますね。
『ZERO』『SAGA』『SIN』
  風見(主人公。無敵の「若き帝王」。ゼロの領域を使いこなせる)
  加賀(主人公の強敵。『SIN』では主人公。ゼロの領域を使いこなせる)
   ※ゼロの領域を使いこなせるのはこの二人だけです。
  今日子(加賀の雇い主で恋愛関係にある)
  名雲(今日子を追い落としたり、追い落とされたり、加賀にちょっかいを出したりする陰謀家)
  アンリ(風見に逆恨み)
  フィル(名雲の操り人形)
『SEED』『DESTINY』
  キラ(前作の主人公。SEED持ち)
  アスラン(サブ主人公。SEED持ち)
   ※自由にSEEDを発動させることができるのはこの二人だけ。
  カガリ(アスランの護衛対象で恋愛関係にある)
  ギルバート(カガリをかまってみたり、アスランをかまってみたり。陰謀家か昼行灯かはまだ不明)
  シン(キラに両親と妹を殺された。カガリに逆恨み)
  レイ(ギルバートに心酔しているように見える)
 
▼さて、「名はその存在を示すものだ」という議長の言葉が製作者からのメッセージだとするならば、主人公シン・アスカのシン=sin=「罪」にはどのような意図がこめられているのでしょう。
 シンはキラに家族を皆殺しにされました。シンの「罪」が、キラに対する復讐を為すこと=キラかカガリかラクスの命を奪うことでなければ良いのですが。
 つまり、カガリやラクスたちが人類を良い方向へ導く存在として設定されているとして(色々と成長を試されているカガリなどにはその可能性があると思います)、彼らの生命を絶つことで人類に対する罪を為すということになるのでは……って、大げさですねー(笑)。

[16-11-03]