CORAZON DE ORO

▼何かの本で知った言葉に CORAZON DE ORO というものがあります。
 古いワルツ曲のようですが、「黄金の心」と訳されます。きれいな言葉ですね。
 今回の『DESTINY』のタイトルは「黄金の意思」でした。
 そして、今回登場した「暁」も黄金のボディをしています。
 この黄金のMS「暁」はウズミがカガリに遺したものです。
 『SEED』の作中世界において、(我々から見た場合の是非はともかくとして)ウズミは理想の為政者として描写されています。
 「暁」が黄金のボディをしているのは、そのウズミから「暁」を託されたカガリこそが「黄金の意思」を体現している存在だという暗喩なのでしょう。
 そういえば、ミルトンの『仮面劇コウマス』には今回の暁を駆りオーブへ戻っていくカガリの姿に捧げたくなるような一節があります。

  今しも金色の陽の車は
  その灼熱した車輪を
  流れの早い大洋の河にひたし、
  下り立つ太陽はその光を
  ほの暗い北極の空に放ちながら、
  東方の己が館へ
  いそごうとしている

「なら行こう。…艦長、スカイグラスパーを私に貸してくれ」

カガリ 「アマギ、ムラサメ隊は出られるな?」
アマギ 「は、はい」
カガリ 「なら行こう。…艦長、スカイグラスパーを私に貸してくれ」

▼スカイグラスパー。
 まだ積んでいたのですね。
 あの機体がムウの記憶に何らかの刺激となるとするなら、彼の復活まであと少し…ということなのかな。

「どうか、幸せに生きよ、カガリ」

ウズミ 「カガリ」
カガリ 「…おとうさま…?」
ウズミ 「もしお前が力欲する日来たれば、その危急に応えて私はこれを贈ろう。
 教えられなかったことは多くある。
 が、お前が学ぼうとさえすれば、それは必ずやお前を愛し、支えてくれる人々から受け取ることができるだろう。
 ゆえに、私はただひとつ、これのみを贈る。
 力はただ力。多く望むのも愚かなれど、無闇と厭うのもまた愚か。
 守るための剣、今必要ならばこれを取れ。
 道のまま、お前の定めたことを為すためならば」
カガリ 「…おとうさま…」
ウズミ 「…が、真に願うはお前がこれを聞く日の来ぬことだ。
 今、この扉を開けしお前には届かぬ願いかも知れないが……どうか、幸せに生きよ、カガリ」

▼貰い泣きするアマギ一尉に萌え。
 遺していく娘を思う父の気持ちを慮ったのか、予期せぬ亡き主君の声に感無量となったのか。
 いずれにせよ、オーブの人たちはウズミ・カガリ父娘が大好きな人が本当に多いですね。
▼実は、カガリこそがSEED世界におけるシャアなのではないかとひそかに疑ってもいるのです。
 ・父親が圧倒的なカリスマ存在(ジオン・ダイクンとウズミ・ナラ・アスハ)。
 ・指導者でありながら、自ら最前線でMSを駆る。
 ・MSのパーソナルカラーが赤&黄金(シャア専用シリーズとルージュ、百式と暁)。
 ・主人公から目の敵にされる(アムロとシン)。
 最後の「主人公?」の部分ですが、『DESTINY』が完全にシン視点の物語だったなら、今回の「デスティニーVS暁」戦は敵国の首魁との戦い──すなわちラストボス戦だということになりますね(笑)。
▼ちなみに、ラクカガ派としては「お前を愛し、支えてくれる人々」の三番目にラクスが入っていたことが感慨深いです。前作ではほとんど会話無しでしたが、今作では……いえ、今作でもラクカガシーンは少ないですか(しょんぼり)。
 それはさておき、あと二人。キラとアレックスを何としても追い抜いて、ラクスが「カガリにとっての一番」になって欲しいものです(何ちゃって/笑)。
▼それにしても、「力はただ力。多く望むのも愚かなれど、無闇と厭うのもまた愚か」というまともで健全な考え方の言葉をこの国のTV番組で聞くことのできるとは、思いもよらないことでした。製作スタッフの方々に敬意を表します。。

[17-07-23]