PHASE-11感想
▼ビデオで11話を見終えた時点でこの感想を書いています。12話はこれから。
▼とりあえず現時点の感想を一言で表現すれば、「1時間スペシャルってアスランスペシャルのことですか?」となるでしょうか。
今回の1時間スペシャルについては、カガリスペシャルになるのでは、というメッセージも頂いていて、それにちょっと賛同していたのですが、全然予想と違いました(笑)。
11話はすっかりアスランの物語となっています。
おそらく『DESTINY』は単独の作品ではなく、一年前に4クールまで放映された『SEED』の5クール目なのでしょう。
そう考えれば色々と頷けることもあります。
例えば、主人公ではないかと言われていたシン・アスカにはライバルキャラがいません。ガンダムシリーズでは珍しいことです。
初代のアムロにはシャア、『Z』のカミーユにはジェリド、『ZZ』のジュドーにはマシュマー……とTV版ガンダムの主人公には最初から強敵となる相手が存在します。もちろん『SEED』のキラにはアスランがいました。主人公をクローズアップさせるためには魅力的な好敵手の存在は不可欠でしょう。
ところが、シンにはそのような対となる相手がいません。今までの放映分における数少ない戦闘シーンで、シンの相手は名前の無い雑魚パイロットか一話だけのゲストキャラばかりでした。物語全体を通じて柱となりそうな敵ではありません。辛うじてネオにその可能性がありますが、彼は今のところレイとしか絡んでいません。そしてステラもルナマリアとの因縁の方が強くなりそうです。
つまり、シンは主人公としては冷遇されすぎています。
しかし、彼は主人公ではない、と考えれば、これは不思議ではなくなります。
……という風に思うことにしました。シンが主人公として目立つその時まで。
▼ブルーコスモスはロゴスの下部組織、あるいは実働部隊という位置付けだと思います。
ブルーコスモスの総帥ジブリールはロゴスの中ではあまり上位階梯のメンバーではないようですし。そう考える根拠は11話冒頭のロゴスメンバーの台詞にあります。
「我らは誰にどういう手を打つべきかな。ジブリール、君にかね」
これはジブリールの解任を示唆する台詞でしょう。つまり、立場的にジブリールと対話しているロゴスの人々の方が上に見えます。
物に当り散らして今回も幼児性を露呈したジブリールでしたが、その直後に映った、感情に任せた復讐を戒める演説をする議長の「大人」としての描写は、おそらくジブリールと議長を対比する目的があるのでしょう。
ひたすら癇癪を爆発させるのみのジブリール総帥と、冷静な対応を説くデュランダル議長。
もしこのまま議長=善玉路線を続け、議長がジブリールの前に倒れるならば、それは「理性は所詮強大な暴力の前では無力」とか「幼児性を持った権力者の恐ろしさ」ということをアピールする意図があるのだと思います。「無理が通れば道理が引っ込む」という言葉もありますね。
▼残念なのはオーブの閣議のシーンです。
今回もカガリへの言葉責めはありませんでした。
物語の中では逆境にあってこそ主人公もヒロインも輝くわけで、ワクワクして見ていたのですが、どの閣僚もまっとうな正論を口にするばかり。
その、もっと何というか、見ている視聴者のはらわたが煮えくりかえりそうな理不尽で傲慢な物言いが必要だと思うんですよ、言葉責めには。
で、理不尽な口撃に晒される姫様を見て「カガリかわいそー、こいつら許せない」とか思いたいわけですよ、カガリファンとしては。
なのに。
期待の人ユウナも閣議においては「国家元首に直言できる腹の座ったエリート」という描写で──誰かもっとネチネチと嫌味を言うキャラはいないものですかね。シンに期待するしかないか(で、期待した通り、Bパートで以前とは逆のことを言ってカガリに噛みつくシンには笑ってしまいました。カガリに絡んでいる時、とても生き生きとしてますよね、シン。シンカガフラグかも/笑)。
もっとも、カガリと二人きりの時のユウナの描写は期待通りのアレっぷりで満足でした(笑)。
ただ──もしかするとユウナは心底カガリに惚れているのではないか、という気もします。彼女の肩を抱いて廊下を歩いているユウナの顔はとても幸せそうに鼻の下が伸びていましたし。
つまり、ユウナは権力への野心とカガリへの恋心が同居しているキャラじゃないかな、と現時点では思っています。
それに、カガリもユウナのことを「信頼できるお兄さん」のように考えて──少なくとも嫌ってはいないみたいです。
カガリ 「こんなことではまた首長達に笑われてしまうな」
とユウナに向かって弱音を吐いています。嫌っている相手にはできないことでしょう、これは。
▼イザークとディアッカのゲスト出演も良かったですね。
イザーク 「俺達は今めちゃくちゃ忙しいってのに、評議会に呼び出されて何かと思って来てみれば! 貴様の護衛監視だと!? 何でこの俺がそんな仕事のために、前線から呼び戻されなきゃならん!」
と言いながら、スーツにネクタイでビシッと決めているイザークもえ。意地っぱりさんめ(笑)。ウキウキしながらアスランの宿舎までやって来たのでしょうね。
そんな内心を分かっている感じのディアッカの態度もGOODでした。
▼ラストでユウナがカガリと結婚とか言ってますよ。
何だかカガリ、名作アニメ劇場の悲劇のヒロインみたい(笑)。
そしてアスランが議長に連絡を取る場面で以下次回。
ヒロインがピンチで、主人公はまだそれに気づいていない──お約束通りの展開ですが、上でも書いた通り、物語の主役達は逆境の中にあってこそ、です。順風満帆は面白くない。
さて、この先どうなるのでしょう。
では12話を見ることにします。楽しみ楽しみ♪
[16-12-25]