「あたしがここまでやって来たのは、みんなを守るためなんだから」

ゆり「馬鹿にしてる。けど、今度こそ」

ゆりが何に怒ったのか最初はピンと来ませんでしたが、すぐ後で彼女が口にした台詞によれば「第2コンピュータ室」というプレートに対してなんですね。

ゆり「どれだけ盗んだのよ」

部屋を埋め尽くすコンピュータ群を見たゆりの感想。
まあ、それは確かに呆れちゃうわけなのですが、この後登場する彼が毎晩、毎晩せっせとパソコンを運んでいる姿を想像すれば、ユーモラスに思えないこともない……かも(笑)。

謎の青年「よく辿り着けましたね」

そしてイケメン登場。
予告のときは女の人の声にも聞こえましたが、絵付きで聞くと、もはや男性の声以外には聞こえません。
不思議ふしぎ。視覚の魔術ですね。
で、この声はSEEDのアスランと同じ声優さんかな……とEDのキャスト一覧を確かめたところ、「謎の青年 石田 彰」とあったので間違いなし。
と言いますか、その二つ下の「ゆりの妹A」って何よ?という感想を持ってしまったわけで。音無の妹はちゃんと「初音」っていう名前を設定してもらえたのになー。
ユイにゃんの親衛隊やゆりの夢の中の友達のNPCでさえ名前をもらえたのに、不憫な……でも、物語の本筋にはあまり関係ないから仕方ないと言えば仕方ないのかも知れないですね。

ゆり「馬鹿にしてるの? 表にこれ見よがしにプレート貼ってあったじゃない」
謎の青年「ここは学校ですからねぇ」
ゆり「おかしな価値観をお持ちのようで」
謎の青年「いやいや、それがルールなんですよ」

イケメンの顔アップ。
寝癖か何か知りませんが、ナスビの蔕のような髪型。ナスラン・ザラと呼んであげたい。
「ナスラン・ザラ、ジャスティス出る!」

ところで、この場面の彼の台詞ですが、「パソコンは『第2コンピュータ室』に場所を移動しただけで、盗んだわけではありませんよ」という主張のつもりなのかも知れません。
この後で彼は自分がNPCだと明かすわけですが、もし彼が本当にNPCであるなら、学校の備品の窃盗という極めて悪質なルール違反を行えるはずがありませんから。
つまり、「第2コンピュータ室」のプレートには、そういうツッコミをゆりや、あるいは視聴者から受けた場合に備えた防衛線としての意味があるんじゃないかな、と。

謎の青年「神。存在するか否か、実に深淵なテーマです。興味深い。が、それを追求する術は僕には無い。ただ決まり事に従うだけ」
ゆり「あなたもプログラミングで動いているのね」
謎の青年「お察しの通りで」
ゆり「誰がそんなことを?」
謎の青年「名前を言っても無意味でしょう。遠い昔の人です」

絶対に誤魔化されないぞ、どんな些細な嘘でも見抜いてやるぞ、と鋭い視線を「謎の青年」に向けるゆりっぺさん。
これはアレですね、もしこの場に遊佐が居合わせたら、「ゆりっぺさんこわいです」と口では言いながら、その実、(ゆりっぺさん凛々しいです)とドキドキしながら彼女に見とれていたんじゃないかと勝手に妄想。
ただ、この「謎の青年」、言ってることが少し変だなあ。
どうして自分が「プログラミングで動いている」存在だと分かっているのでしょう。他のNPCたちはそんなこと無かったのに。
まあ、彼が特殊な役割を持ったNPCだから、と言ってしまえば、それまでのことではありますが。

ゆり「ANGEL PLAYER。このソフトは何なの?」
謎の青年「知っての通り、この世界のマテリアルを作成、改変できるソフトです」

どうして「ゆりがANGEL PLAYERの機能について知っている」ということを彼は知っているのでしょう。
もしこれがただの当てずっぽうでないのならば、少なくとも、「戦線」メンバーがかなでの部屋に侵入したことや、かなでのPCのパスワードを破ったことを彼は把握していた、ということになります。
ですが、その場合、問題点がひとつ。
「戦線」の行動を逐一監視でもしていない限り、そんなことは不可能ですよね。
もっとも、分身騒動に彼が関与していたというのなら、話は別でしょうけれども。

ゆり「何でそんなことができるの?」
謎の青年「さあ。僕は開発者ではないので。でも、あなたたちも土から武器を製造している。同じ事でしょう」
ゆり(結局、同じルールに則ってるのか)

残念そうに目を伏せるゆりっぺ。少しは期待していたのでしょう、ANGEL PLAYERがもしかしたら「神」への足がかりになるかも知れない、と。
ただ、やっぱりここでも「謎の青年」の台詞は少し変じゃないかな。欺瞞がありそうな感じです。
確かに彼の指摘した通り、ゆりっぺたちは「土」から武器を造っている。
でも、そこには第二話で彼女が口にしたように、

ゆり「それを構成する仕組みと作り出す方法さえ知っていれば」(EPISODE.02)

という制限があります。
そうであるならば、「ANGEL PLAYER」の作成者は「この世界」以外の場所でも「世界のマテリアル」の「作成、改変」と同等の事ができるだけの知識と技術を持っていた、ということになります。
そうでなければ「ANGEL PLAYER」を今のような機能を持つものとして造ることはできなかったはずですから。
だけど、それはもはや造物主と同じレベルの権能では……?
それに、そもそも、どうして「謎の青年」はゆりっぺたちが「土から武器を製造している」ことを知っているの、という疑問もあるわけで。
上で感じた疑問も考え合わせると、どうやら彼はこの世界で起きていることを何でも知覚しているように思えてきます。

ゆり「そのソフトの制作者は神になりたかったのかしら」
謎の青年「…………さあ、僕には何とも」

ゆりの質問に対し「謎の青年」は韜晦するように返答しましたが、ここでクスッと笑って「あなたの仲間である直井文人君のように、ですか」と返していたら、ゆりはどんな反応を見せてくれたのかな、と。
今回、「戦線」メンバーの集結した一枚絵を見る限り、ゆりの中では直井も完全に身内として認識されているようですからねー。

ゆり「じゃあ、何? NPCの中にはあたしたちみたいなのが他にもいるってこと?」
謎の青年「はい、います。一人だけ」
ゆり「かわいそうに……」

「一人だけ」という部分に反応して、かなでのことを連想したんじゃないかな、ゆりは。
だから「かわいそうに」と呟いたのではないかな、と。
だとするなら、何という根っからのお姉ちゃん気質の持主。
……と言いますか、「一人だけ」という台詞を聞いた瞬間、私が(もしかすると、かなでのこと?)と反射的に思ってしまっただけだったりします(笑)。
もっとも、その想像は「謎の青年」によってすぐに覆されました。
「彼」という以上、かなでのことではないですよね。

謎の青年「そのプログラマーです」
ゆり「え?」
謎の青年「彼は待ち続けました。愛を知り、一人この世界を去っていった彼女を」
ゆり「そんな。もう一度出会える可能性なんてない」

「この世界」に来るためには、まず、
・もう一度人間に生まれ変わること。
・その生まれ変わった人生で「青春時代をまともに過ごせなかった」(EPISODE.09)こと。
という条件をクリアする必要があります。
しかも「まともに過ごせなかった」というのは、「人生の理不尽を呪」うほど「陰惨な人生」(EPISODE.03)である必要があります。
ゆりが「可能性なんてない」と言いたくなる気持ちもわかります。
ですが、「謎の青年」は即座に反論しました。

謎の青年「天文学的数字ではありますが、ゼロではありません。しかし、彼女を待つ時間はあまりに永すぎ、彼はもう正気ではいられなかった。だから、自分をNPC化するプログラムを組んだのです」

うん。確かにゼロではないです。
ただ、問題があります。
奇蹟のような巡り合わせで「彼女」が「この世界」にやって来ることがあったとしても。
その時の「彼女」は転生を経た後の彼女です。
つまり、「プログラマー」の知る「彼女」とは違う名前、違う顔、そして何より、違う性格の持主です。
全く別の人生を経て「この世界」にやって来る以上、かつて彼が好きになった「彼女」と同じパーソナリティを持っているとは限りません。
そのことは置いておくとしても、彼は別の名前、別の顔になった「彼女」を、果たしてかつての恋人であると見分けることができるのでしょうか。

謎の青年「僕にも何が正しいのかは分かりません。ただ、ここまで辿り着いたあなたならば、その答えが導き出せるかも知れません」
ゆり「どういう意味よ」
謎の青年「あなたの意志次第では世界を改変できる、という意味です」
ゆり「改変してどうすんのよ」
謎の青年「彼が選ばなかった道も選べます」
ゆり「それはわたしが神にでもなれるというの?」
謎の青年「言い換えれば」
ゆり「ここを永遠の楽園にすることだってできるの?」
謎の青年「彼はそれを否定しましたが、僕自身は否定しません。……いや、否定する感情を持ちません」

どうして自分は「ANGEL PLAYERのプログラマー」とは違う、ということをわざわざ言及する必要があるの?
それに「否定する感情を持ちません」というのはおかしくないかなぁ。
ゆりの分析によれば、

ゆり「NPCの行いは基本的にはあたしたちのなすべき模範だけど、その感情は現実の人間と同じもの」(EPISODE.06)

ということです。つまり、感情が無いわけではないはずです。
なのに、“自分にはそういう感情は無いんだよ、つまり人間とは違うんだよ”と「謎の青年」は殊更に言い張っている。
すなわち、この台詞も“自分は人間じゃないから「ANGEL PLAYERのプログラマー」とは違うんだよ”という言わずもがなのことを言っているものだと思うのです。
そこで仮説を立てたくなってしまうわけです。
この「謎の青年」こそが「ANGEL PLAYERのプログラマー」のNPC化した姿ではないか、と。

それと、これが一番の疑問なのですが、そもそも何故ゆりに対してこんなにも挑発的な示唆をしているのでしょう、この「謎の青年」は。「神」になれ、と。
あたかもゆりを試しているみたいです。

ゆり「神? わたしがこの世界の神? フ、フ、ウフフフ、アハハハ、アハハ」
謎の青年「どうかしましたか?」
ゆり(手に入れたんだ、この世界を。あたしはやった。戦ってきたのはこのためだったんだ。天使にだって勝てる。これだけのシステムがあれば最強だ)
ゆり「……なんてことするわけないじゃない。かなでちゃんにも、もうそんなことできない。だってあたしは……ここまで来たのは……あたしは……」
謎の青年「あれ? 愛を感じ取りました。ここまで大きいのは初めてです。恐ろしい速度で拡大を……」

「謎の青年」の背後に浮かぶ白地に赤の大きなハートマーク。
でも何だか日の丸みたい。
部屋中、日の丸がいっぱい。

ゆり「だって、あたしがここまでやって来たのは、みんなを守るためなんだから」
謎の青年「ああ、発生源はあなたでしたか。で、何をしようという気です?」
ゆり「全てのマシンをシャットダウンしなさい。今すぐ」
謎の青年「いいんですか? ちゃんと考えたんですか? まだまだ時間はありますよ? それこそ永遠に」
ゆり「あのね、教えてあげる。人間というものは、たった10分でも我慢してくれないものなのよ!」

この後、ゆりの銃撃場面があって、すべてが終わった後、「謎の青年」の姿は消えていました。
銃口を向けているような描写もありましたが、本当にゆりが彼を狙撃したかどうかは不明です。
NPCに対する攻撃を己に禁じてきたゆりが彼を撃つというのは俄には信じがたいことです。
反面、彼は「影」の事件の黒幕であり、彼をどうにかしないことには「戦線」の仲間たちを守れない。だから、己に課した戒めをこの場面であえて破った可能性もあります。
直接の描写が無い以上、結局のところ、どちらであるかは分かりません。
さて。
ここで妄想をひとつ。
仮に「謎の青年」が「プログラマー」だったとして。
そして、「誰かのために生き」た結果がこの牢獄のような世界に永遠に閉じ込められることなのか、とずっとかつて自分のした選択を後悔していたとして。
この世界の神になれるかも知れないという、禁断の果実を前にして、それでもその罠を振り払って……というよりも、目もくれないで、ゆりは行動しました。
それは「戦線」の「みんなを守るため」。そのために自分を犠牲にして戦いました。
つまり、彼女の行動原理は「誰かのために生き、報われた人生を送った」「プログラマー」のそれと同じものです。
躊躇うことなく自分を犠牲にできる、そんな彼女の姿を見て、かつての自分の行動は間違ってなかった、と――「誰かのために生き」た人生は間違いではなかった、と「プログラマー」は報われた気持ちになったんじゃないかな、と。
だから、満足してこの世界から去ったからこそ、銃撃の後、姿が消えていたんじゃないかな、と。


「終わった」

ゆり(これで……終わった。きっとみんなは助かったはず。これで無事、この世界から去っていけたはず)

みんなが「この世界から去って」しまえば、ゆりは広い世界にひとりぼっちです。
おそらくそのことを覚悟の上で彼女は行動していた。
だから、すべてが終わったとき、彼女は放心したようにしゃがみ込んでいたのでしょう。
ああ、もう自分はこの世界にひとりきりなんだな、と。
だけど――
ゆりがみんなのことを守りたいように、みんなだってゆりのことを守りたいわけで。
ゆりを「この世界」に一人でなんか残していけないわけで。
だから、ラストの場面――みんな消えずに待っていたんだろうな。と。
「戦線」の仲間たち、みんなで一緒に「この世界」から「卒業」するために。


[22-06-20]
文責・てんま


「毎日が文化祭みたいで、楽しかった」

関根「あたしたちはもう……いいっていうか、ね?」
ひさ子「あんたの話を聞いて納得しちゃったんだよ」
入江「踏ん切りがついたっていうかさ」
ひさ子「そういうグループだよ」
入江「言われなくても分かってたんだけどね。まぁボーカル居なくなっちゃったし」
関根「岩沢さんとユイの代わりはもう居ないんだよ」
ひさ子「しっかし酷いボーカルだったなぁ」
入江「毎日が文化祭みたいで、楽しかったなぁ」
ひさ子「でも、あたしたち以外は大変だぜ?」
音無「だろうな」
ひさ子「やるんならやりきってくれ。でないとあたしたち、あんたに説得されただけみたいになるじゃん。もしずっと続いてきたこの戦線が無くなっちまうんだったらさ、この世界はあんたも含めてその意味を果たしたことになってさ、良い風になったんだなって思えるからさ。ただ一時、あたしたちはありはしなかった青春をさ、ただ楽しんでたってことになれば、それだけで十分だなって」
音無「何言ってんだよ。分かんねーよ」
ひさ子「だよなー。あはは。ま、後のことは知らない。あたしたちはもう行く。それだけ。じゃあな、新人。……次もバンドやるよ」
音無「ああ、きっとまた好きになる」
ひさ子「ん。じゃーな」

切々と訴えるように内心を吐露するひさ子。
「ありはしなかった青春をさ、ただ楽しんでたってことになれば」という彼女の台詞に被せて入江と関根が目配せし頷き合う場面で胸がチクチクと痛んでしまいました。
何と言いますか、
祭りの後の寂しさと言いますか、
文化祭ならまだまだ学校生活は続くけれど、この世界の場合、みんなここで永遠のお別れなんだね、とか、
みんな幸せになりたいんだよね、とか、
うまく言葉にできませんが、この場面とても切ないぞ、と。

「ただ楽しんでたってことになれば、それだけで十分」というひさ子の台詞は、第三話(My Song)で音無が看破した「あれは人生の理不尽を呪った目だ。(中略)ここにいる連中は全員が神に抗おうとしているんだ。理不尽な人生を受け入れることに抗おうとしているんだ」という台詞に対応するものじゃないかな、と思います。
神、あるいは理不尽な人生への恨みつらみ、嘆きばかり思って、ウジウジとこの世界での日々を過ごしていたわけじゃない。自分たちはむしろ思い切り毎日を楽しむことができた。そのことに眼を向けるべきだよね、とひさ子は言いたかったのではないかな、と。
そして。
辛い過去ばかり振り返って憎悪の念に駆られ、己の殻に閉じこもる(=「神」への復讐に拘り、「この世界」に固執し、次の転生への一歩を踏み出そうとしない)ことではなく、前へ向かう気持ち。それが大切。
そのことに「戦線」の全員が気付けた時、「この世界はあんたも含めてその意味を果たしたことにな」る。
だからこそ、ひさ子は「やるんならやりきってくれ」と音無に求めたんじゃないかな、と思います。
「あたしたち」が「説得されただけ」では意味が無いんだよ、と。「ずっと続いてきたこの戦線が無くな」らなきゃ――全員が気付けなきゃ、意味が無いんだよ、十分じゃないんだよ、と。音無の行為にも、「魂の救済場所」(EPISODE.08)として「この世界」が存在していることにも。

ところで。
この場面に遊佐はいませんでしたね。
第十一話のED曲が流れる場面では、岩沢とユイのギターを前にしてガルデモメンバーと一緒にいたというのに。
どうやら遊佐は彼女たちとは道を同じくしなかったように思えます。
や、後ろのほうにいた「その他大勢」メンバーの中に紛れていた、という可能性もありますが、できればそれは無しの方向で。
そして次回、こんな感じ↓の会話があったらよいな、と。
「遊佐さん、あなた、この世界に残っていたの?」
「わたしはゆりっぺさんの眼、ゆりっぺさんの耳ですから」
「それにしたって影の危険があったというのに。一歩間違えれば魂を喰われちゃったのよ?」
「でも、ゆりっぺさんのいる世界がわたしの居場所ですから。ゆりっぺさんを残して居なくなるわけないじゃないですか」
「遊佐さん」
「大好きです、百合っぺさん……」
「ちょ、ちょっと、今『ゆり』に別の意味をこめなかった?」
「それは今となっては些細なことです」
「全然些細なことじゃないわよー!ってか、いきなり抱きつくなー」
……公式サイトの予告動画では5人だけで卒業式をしているみたいですが、たかだか10秒程度の映像ですし、残り24分間の間に遊佐その他「戦線」メンバーの出番はありますよね?

そして、以下妄想。
遊佐にとってのゆりっぺさんは、直井神にとっての音無さんみたいな存在じゃないかな、そうだったらいいな、と思ったりもするのです。
というのも、遊佐はこの物語の中で仲間を監視するような行動を何度もとってますよね。そして逐一かれらの動向をゆりに報告している。
もし「この世界」に来る前の彼女が同じようなことをしていたとしたら、周囲から疎まれていた可能性があると思うんです。
そして、そのことに遊佐自身も引け目を感じていたとして。
だけど、「この世界」で出逢ったゆりは彼女のやってきたことを肯定してくれて。
それどころか「神」に抗うために自分の力になって欲しいと頼られて。
結果、直井神が音無さんに懐いてしまったように、遊佐もゆりに懐いてしまった……みたいなエピソードが過去にあったらうれしいかな、と。


「メンバー全員で」

藤巻「無事に去っていこうぜ、メンバー全員でよ!」
日向「ああ!」
TK「Goodbye, wild heaven」
音無「よし、突破するぞ!」
  (中略)
椎名「お前の意志は引き継ぐ。行け!」

一番の難物に思えた校長室メンバーがすでに音無の言葉に納得していたのは、少し意外でした。
もっとも、藤巻は公式サイトのキャラクター紹介では筋者扱いされていますが、その実、かなりまともな言動もしているんですよね。第七話で主を料理した時も「こんな奉仕活動みたいなこと」と言いつつ、楽しそうに参加してましたし。
ところで、松下五段。
彼だけはここ最近の情勢に疎いわけで、この後、みんながいきなり消えちゃって……と言いますか、すでにかなりの「戦線」メンバーの姿が見えなくなっていて「何じゃこりゃーーっ!!」状態になるんだろうなぁ、と。
そして、しいなっち……

椎名「百人…、戦力が増えたと思え」
音無「え?」
椎名「分からないのか?」

「分からねーよ!もしかして『百人力』って言いたいのかよ!」
「あさはかなり(///)」
……みたいな遣り取りを音無さんとしたかったのかなー、と(笑)。


「卒業生代表、音無結弦」

[c174]みんなと過ごせて…本当によかったです。ありがとうございました。卒業生代表、音無結弦!

音無さん、本当に卒業できるのかなぁ。「謎の青年」の言うことを信じるなら、

謎の青年「ただ、誰かのために生き、報われた人生を送った者が記憶喪失で迷い込んでくることがまれにある。その時にそういうバグが発生するんです」
ゆり「そしてそれがANGEL PLAYERのプログラマー」

音無は「ANGEL PLAYERのプログラマー」と同じようにこの世界には手違いでやって来た存在です。
確かに、かなでは「本当ならあなたは消えてるはず」と音無に言いました。でも「思い残していること」があるから「あなたは残っている」と(EPISODE.09)。
ですが、それは音無が「この世界」に来るべくして来た存在だった場合に適用されるルールです。
すでに「報われた人生を送った」音無にも、「この世界」で「報われて消え」るというルールが適用されるかどうかは分かりません。
実際、「ANGEL PLAYERのプログラマー」は恋人と一緒に「この世界」を去ることはできませんでした。
本来なら「愛を覚えた」ときに恋人と一緒に消えていたはずなのに。
もっとも、「ANGEL PLAYERのプログラマー」の場合、「戦線」の仲間たちを「この世界」に残していけないという心残りがあってユイと一緒に消えることができなかった日向のように、何らかの心残りがあったから恋人と一緒には消えることができなかった、とも考えられますが。
ともあれ、視聴者としてはどんな形であれ、ハッピーエンドを物語が迎えることを願うしかありませんよね。

ちなみに、音無が「この世界」に残るなら、必然的に直井も留まるでしょうし、「戦線」メンバーであるかれらが残る以上、日向もかれらを放置して消えることはできず、たぶんゆりも日向と同じ理由で消えられない可能性が高くて、そうなると、かれらを卒業させたいかなでも残留を余儀なくされ……ということになっちゃう可能性もありそうかな、と。でも、それじゃあ全員留年組になって、「Graduation」というタイトルが看板倒れになってしまいますね(笑)。


[22-06-22]
文責・てんま


Track ZERO & BD第一巻 キャラクターコメンタリー感想

○まずはTrack ZEROの感想。
ガルデモ最高。
TVとは印象が全然違いますね。
ひさ子はひさ子のままでしたが、岩沢のキチ○イっぷりが半端じゃない。
半端じゃなく格好良い。
しおりんかわいい。小悪魔でかわいい。いつかZEROで見せた素のキャラのままでキャラクターコメンタリーをやって欲しいくらいの小悪魔っぷりでした。
みゆきちもかわいい。しおりんに弄られ振り回される日々であろうことが容易に想像できちゃうくらいかわいい。いつかしおりんとヌルトークやって欲しいです、キャラクターコメンタリーで。
……と、まあ、巻末に収められた番外編2話の印象が強すぎて、「戦線」草創時のエピソードの感想が頭の中から飛んでいっちゃうくらい、ガルデモにはまりかけなのですよ。
スピンアウトで「がるでも!」とか「がる☆でも」みたいなOVAが出ないかなー(笑)。
あるいはガルデモメインの第二期とか。
それと、少しだけ気になったこと。
チャーが「この世界」にいる理由ですが、江戸時代風に言えば相対死(あいたいじに)、いわゆる情死っぽいですね。
ゆりの言った「自殺した者はこの世界に来ることはない」という推測はどうも外れ……と言いますか、ゆり自身、チャーの述懐を聞いていたわけだから、この時の会話を忘れたか、あえて誤情報を音無に伝えたのは他に何か理由があったのか。あるいはゆり自身が自死だったから、「神」に抗う「戦線」のリーダーとして決まりが悪くて、あえて情報を攪乱したのか。自死というのはいわば運命に負けた、つまり神に負けたようなもの、という意味の台詞をゆり自身口にしていましたし。
まあ、最終回を数時間後に控えた今となっては、考えても意味のないことではありますが。

○次にBD第一巻のキャラクターコメンタリーの感想。
今回はゆり、日向、大山という「戦線」草創期の最初の3人組。第二話で野田が参加。
感想は「みんなテンション高いな?」と(笑)。一時間、あの調子で喋っていたわけですから、声優さん大変だったろうな、と。
いくつか気になった情報。
・日向にアニオタ疑惑。本人は否定していましたが、少なくとも野田が口にしたシチュエーションを「ピンポイントだった」と評価できるだけの知識はあるわけで。
・野田に○リコン疑惑。「幼いゆりっぺももちろんありだ」は本気の台詞かと(笑)。
・「天使ってけっこう美人だよね」と口走った日向にも○リコン疑惑が。や、かなでのような容姿を好きだったら○リコンというわけでもないのですが、でも何となく。
・大山が口にした「戦線」以前に存在した「神」に抗う組織について。これはTrack ZEROを読めば分かる情報ではあるのですが、あえてキャラクターコメンタリーで取り上げたということは、今後何かそちらの展開もありうるのかな、と。希望的観測。
・「あたしはどこにいようが、死んだ世界戦線リーダーのはる…ゆりっぺだー!」。はるっぺって誰? 声優さんの名前ともかぶってないしなー。日向「もういい、はるっぺ、もう喋るな」ゆり「はるっぺって誰だ?」のやり取りは最高。

○さて、あともう数時間で最終回を迎える「Angel Beats!」ですが。
ガルデモメンバーやチャー。今まで何人も「この世界」から去っていって、だけど「また会おう」とはっきりと口にした人物はまだいなくて。
それはいみじくも世界を去る直前にユイが口にした「会えないよ」という台詞が、全員に共通する想いだからではないかな、と。
「この世界」を去る、ということは仲間たちとの永別を意味すると皆分かっているから、再会の約束なんてできるわけがなくて。
でも、だからこそ、この最終回で「次の人生でもまた会えたらいいな」「フジツボの姿でか?」「ああ、それもいいさ」「そうだな、約束だ。また会おうぜ」という感じの会話があったらいいな、と。


[22-06-25]
文責・てんま