「クライストとお呼びください」

ゆり「今回は天才ハッカーの名を欲しいままにする彼、ハンドルネーム竹山くんを作戦チームに登用。エリアの調査を綿密に行う」
高松「今のは本名なのでは?」
竹山「僕のことはクライストとお呼びください」

「ジーザス・クライスト・スーパースター (Jesus Christ Superstar)」というロック・ミュージカルがありますが、「クライスト」とはつまり「キリスト」のことです。
「神への反逆」がテーマのひとつであろうこの物語において、意味深なハンドルネームではあります。

※この後、竹山が何度「クライストとお呼びください」と訂正を求めても、ゆりが「竹山くん」呼ばわりをしているのは、繰り返しギャグのように見せかけていて、実は「救世主」を意味し「神の子」を連想させるこの「キリスト」という言葉が気にくわないからなのかも知れませんね。「神」への反抗を志す者が名乗る名前ではないわよ、という感じで。

そしてOPを注視すれば分かるのですが、「戦線」のエムブレムが映っているモニタの左下の方に「TAKEYAMASOFT」の文字が表示されています。

※©0000-0000 TAKEYAMA SOFT Incorporated and its licensors.AllRights Reserved.
 Patents pending in the U.S. and/or other contentries
という表記になっています。

もしかすると重要人物なのでしょうか、「ハンドルネーム竹山くん」は。


「奴は災厄をもたらす」

ユイ「あなたでしたか」
音無「俺のこと知ってるの?」
ユイ「ハイ。いつもデカい斧持ってるセンパイが、奴は災厄をもたらすから注意しろ、とか何とか言ってましたー」

ユイ最高。凶悪なまでのかわいさです。
BD&DVDのCMで映るジャケットの画像を見て以来、その登場を心待ちにしていましたが、第三話にしてようやく真ヒロインの登場♪

※と、第五話を見るまでは思っていました(笑)。
※それと、第一話の感想を書くために録画を見直していたら、第一話からすでに登場していたことに気がつきました。
後ろ姿だけの映像ですが、ガルデモの周囲でチョロチョロしてました。

それにしても「奴は災厄をもたらす」という警告が気になりますね。何度も執拗に音無に突っかかってくる人物の台詞であるだけに、とりわけ。
今後の展開への伏線なのか。
それとも単に「自分の崇拝している女性である『ゆり』の言うことを聞かない男」への敵愾心から言っているだけなのか。


「全員が神に抗おうとしている」

音無(さっきの……あれは人生の理不尽を呪った目だ。彼女にも陰惨な人生がある。誰もミジンコになることを恐れているわけじゃない。ここにいる連中は全員が神に抗おうとしているんだ。理不尽な人生を受け入れることに抗おうとしているんだ)

「戦線」メンバーは全員が恨みを持っている魂ではないか、と音無は考えます。
つまり、ゆりがそうであるように、「戦線」メンバーの心には「神」への反撥心が充満しているわけです。
そういう恨みを持った魂を「神」がわざわざ集めるものでしょうか。
もちろん、この物語の舞台となっている「学園」はかれらの魂を癒し成仏させるための施設なのかも知れません。
ですが、「学園」は「神」が用意したものというよりも、むしろ「神への反逆を試みる立場の者」が用意した場であると考えたとしても、違和感はあまりないように思えます。
つまり、この「学園」はいまだ物語に姿を見せない「彼」あるいは「彼女」が神に対抗するための尖兵を集め育てるための場であるという可能性もあるのでは。
そしてそのような場に「神」側の存在である「天使」も存在を許されているのは、「戦線」メンバーを(本人たちの知らない間に)鍛えるための反面教師という可能性も。
実際、「戦線」メンバーは「天使」に対抗するための模索を通じて、アンチ「神」としての戦闘能力を日々鍛え上げているわけで。
そして「天使」に破れるたびに「天使」への敵愾心、すなわち「神」への反抗心をさらに育てる結果となるわけで。

※この場合「天使」は人々の魂を在るべき世界へ救い上げようと獅子身中の虫となって、敵対存在のホームグラウンドで孤独な戦いを続けている健気な娘さんということになりますね。


「まるで悪役ね」

天使「まるで悪役ね」

や、何と申しますか……この場面の「天使」。
仕草も声も表情も、何もかもがかわいすぎ。

※第一話冒頭の小首をかしげる「天使」も捨てがたいですが。
※おそらく視聴者の大多数が「あれ?」となった場面ですよね。「彼女、実は人間味がある?」と。そして第五話に至るわけです。


「何処にも神などいやしない」

ゆり「天使は自分の能力を自分で開発してた。それは奇しくもあたしたちが武器を造る方法と同じだったのよ」
ゆり(わたしたちと同じ方法をとる必要があるということ。そこから導き出されるのは最悪の設定だ。何処にも神などいやしない。どうして天使なら神から力を授からない? どうして自作などする必要がある?)

「天使」だと思っていた存在が実は神と繋がっていないのでは、と落胆するゆり。
ですが、第二話で、

ゆり「この世界では命あるものは生まれない。けど、形だけのものは生み出せる。それを構成する仕組みと造り出す方法さえ知っていれば、本来何も必要ないのよ。土塊からだって生み出せるわ」(EPISODE.02)

というルールが明かされています。

※そもそもこの設定が明らかとなった時点で、ギルドのメンバーが銃やら機銃やらを「構成する仕組みと造り出す方法」を知っていること自体に疑問を抱かざるをえないわけで。どう考えても堅気の衆ではないでしょ、彼ら(笑)。
と言いますか、やはり、この「学園」に集った魂は高校生の見かけ通りの年齢の者ばかりではなさそうです。

そして、「天使」の生み出す超技術は凄まじく、とても我々の文明レベルでは実現できそうもないものばかりです。
ということは、「天使」は我々とは違う次元の文明から物語の舞台となっている世界にやって来た存在であるか、もしくは、そういった超絶技術の基礎となる知識を何者かから与えられてやって来た存在、ということになります。
この事実こそが「神」の恩寵である、という可能性もあるのではないでしょうか。

※もしくは高度に科学技術の発展した異星文明が「天使」の故郷であるとか(笑)。
いえ、笑い事ではなく、20%もの成人が「宇宙人が地球にいる」と信じているという調査結果がつい先日発表されているんですよね。
宇宙人は地球に存在、世界で2割の人が肯定=調査
>ロイターと調査会社イプソスが世界22カ国の成人2万3000人を対象に実施した調
>査では、宇宙人が地球に存在すると考えている人が全体の20%になった。
>
> インドと中国では、宇宙人が地球人のふりをして生活していると考えている人の割合
>が40%を超えた。

ただ、上の方で想像してみたように、この「学園」を用意したのが「神」ではない、と仮定するならば、「天使」が「神」の援助を受けていないこともさほど不思議ではないんですよね。
その場合、敵地で行動しているようなものですから、味方のバックアップは受けがたく、それならば現地調達が原則となるでしょうから。


「あの子が納得しちゃった。それだけの話よ」

高松「では、もうひとつの案件です。岩沢さんは何処に消えてしまったのか」
ゆり「あの子が納得しちゃった。それだけの話よ」
音無(消える条件は天使の言いなりになって正しい学生生活を送る。それだけじゃ、なかったんだ)

生前の未練を充足し、満ち足りた気分になったら成仏した。
これは幽霊が主役となる物語では王道のパターンですよね。
問題は誰でも簡単に思いつきそうなその推論に、ゆりと音無を除いた「戦線」メンバーが思い至っていないことです。
もしかすると、何者かの意識操作を受けているのかも知れませんね。


[22-05-07]
文責・てんま