第六話。
「かなで」好きの中には今回のエピソードで発狂した人も多かったはずです。
…………「かなで」が可愛いすぎるせいで。

※この感想における人名表記は基本的に主人公の呼び方に合わせております。
音無が「天使」ではなく「たちばな」と呼ぶようになったので、第六話以降の感想は「天使」から「たちばな かなで」の方を使用することにしました。
ただ、漢字が分からないので、それまでは平仮名表記で。
本当は音無と同じく「たちばな」表記にしたいところですが、平仮名で「たちばな」と書くと何となく小さな子供の文章っぽくなったので、「かなで」に統一しました。
そのうち音無も彼女のことを「かなで」と呼ぶようになるかも知れないですしねー。

と言いますか、一緒に麻婆豆腐を食べて、一緒に独房に入れられて、手に手を取り合ってそこから逃げ出したというだけなのに、どうしてこんなに萌えるんだ、と。
もう「かなで」ルートに進んじゃえばいいよ!と。


「模範的な行動を取っていたはずよ」

ゆり「よく聞いて。直井文人はNPCじゃなかったの。人の魂を持ったあたしたちと同じ人間だったの。おかしいと思わない? 元は副会長。模範的な行動を取っていたはずよ。なら、存在を保っていられず消えてなくなるはず。でも陰湿にね、陰で一般生徒に暴力を振るっていたの。表で模範的な活動をし、裏で悪事を働く。それでこの世界でのバランスを取っていたというわけ。抑止力を持った天使が失脚したことにより、彼はこの世界で自由を手に入れた」

模範生は普通なら消えてしまう。
だから、模範通りの生活をしているのに一向にこの世界から消えない「かなで」のことを特別な存在=「天使」だと考えた、ということなのでしょうね。

※もっとも、校則を忘れて麻婆豆腐を食べている「かなで」の天然っぷりからすれば、本人の気づかないうちに色々と逸脱したことを行っているような気もしますが(と言いますか、校則違反になるのなら、休み時間に学食を開いていること自体どうなんだろう、という話にもなりそうですが/笑)。
そもそも第一話で夜中に学園をウロウロしていた件ですが、実はあれも校則違反だったりして。


「一般生徒を攻撃できない」

ゆり「彼はあたしたちが一般生徒を攻撃できないことを知ってる。だから彼らを盾にも人質にもするのよ。あたしたちは言いなりになるしかない。それはもう一方的な暴力。次々と仲間たちがやられていってるわ」

どうしてあそこまでされながら、それでもなお「一般生徒」に対して無抵抗なのでしょう。
直井は平然と「一般生徒」に手を出してますよね。
だから、「一般生徒に手を出さない」というのは、あくまでも「戦線」メンバーが自分たちで自分たちに課したルールでしかないはずです。
自分たちは無頼の存在だけど堅気の衆には絶対手を出さない、この最後の一線だけは守り抜くんだ、というある意味侠客に似た覚悟でいるのでしょうか。
ただでさえ「秩序」から遠い日々を送っている「戦線」メンバーです。
人という存在は、全てのものから自由ということになったなら、おそらくあっさり堕落しきってしまうでしょう。
だから、最低限守るべきルールとして「一般生徒には手を出さない」というルールを彼らは自分たちに課しているのかな、と思いました。

※無抵抗でい続けられる理由には、結局何をされても死ぬことは絶対無いし、怪我もすぐに回復する、というのもあるでしょうが、それでも「死ぬ痛みは味わう」と高松が第二話で言っていたわけで、相当の覚悟が必要ですよね。

それと、ふと思ったのですが、必ずしも「一般生徒」=「NPC]という図式になるわけでもないのかな、と。
人には様々な考えの持主がいます。全ての人間が「戦線」の主張に賛同するとは限らないでしょう。
かつて人間だった魂を持つ全ての生徒が「戦線」に参加しているとは限らないわけで、次の転生のためにこの世界のルールに従って生きよう、と考える者がいても不思議ではないと思います。
第三話でこのようなことを言う生徒がいました。

女生徒「ガルデモのライブはあたしたちにとっての唯一の楽しみなのよ!」

学園生活を送らせるためだけに用意された存在であるNPCがここまで強硬に「楽しみ」を求めるものなのかな、と。もしかすると彼女は人間の魂を持ちながら消えることを受け入れた存在だったのかな、と。

※そこまで精巧に“造られている”ということなのかも知れませんが。


「こいつが…可哀想すぎて。不憫すぎて」

音無「俺には記憶が無いんだ。だからおまえと戦う理由も実は無いんだ。もし俺に記憶があったなら、もしも最初に馬鹿な質問をしなかったら、この世界で俺はお前の味方でいたかもな」
かなで「そんな人はいなかったわ」
音無「いてもいいじゃないか」
かなで「いないわ。いたとしてもみんな消えちゃうもの」
音無「あ」
音無(そうか、こいつの味方をするということは楽しい学園生活を送ってこの世界から消えてしまうということ…なのか。そうか。なんか笑えてくる。こいつが…可哀想すぎて。不憫すぎて。なんて世界のシステムだ)

「かなで」には生前の記憶が無いのかも知れません。このようなことを言っているくらいですから。

音無「辛いのが好きというより、麻婆豆腐が好物なんだな」
かなで「あたし、麻婆豆腐が好きなの?」
音無「いや、そんな、俺に聞かれても」
かなで「はじめて知った」

そして音無や直井の唱える「満足すれば消える」説が正しいとするなら、過去の記憶がない以上、それに対するカタルシスもあり得ないわけですから、「かなで」が「満足して消える」ことはない。
そして、次がポイントなのですが、
音無にも記憶がない。
つまり、彼も「満足して消える」ことはない(今のところは。)。
だから、音無が「かなで」と仲良くなってあげればいいよ!
そしてそのまま、音無×「かなで」ルートに進んじゃえばいいよ!
という結論になるのです、うん。


「僕らこそが神になる権利を持っている」

直井「ここは神を選ぶ世界だと誰も気づいていないのか? 生きていた記憶があり、皆一様に酷い人生だったろ。なぜ? それこそが神になる権利だからだ。生きる苦しみを知る僕らこそが神になる権利を持っているからだ。僕は今、そこにたどり着けた」

別のありふれた言葉で言い換えるなら、
「優等生には落ちこぼれの気持ちは分からないよ」
ということでしょうか。
つまり、人間には成功した者とそうではない者とが必ず存在する。すべての人間が成功者になるということはあり得ない。

※まあ、何をもって「成功者」とするかは問題ですが……。「最後に笑って死ねるような人生」を送ることのできた人、かなあ。

そうである以上、両方の気持ちが分かる者でなかれば、「神」として公平な視点は持てないのでは、ということなのだと思います、直井の言いたいことは。
ただ、この世界が直井の考えたような「神を選ぶ場所」であるというのは、あくまでも彼の仮説にすぎないでしょう。
なぜなら、「神」候補となる者たちの母集団が狭すぎます。
この「学園」が様々な人種の集う国際色豊かな場所であるならともかく、日本人だけ、しかも標準語を喋る地域の者しか存在しません。

※関西弁や東北弁を喋っている登場人物はいませんよね。TKは謎ですが。

この中からだけで「神」を決めると言われても、首をかしげてしまいます。
関東地方限定の神様を決めるというのなら、話は別ですが。


「この世界で夢を叶えた」

直井「彼女はこの世界で夢を叶えたんだ。だから消えた。成仏できたんだ。貴様も今から成仏するんだ。幸せな夢とともに」

この直井の台詞に続けて、日向が「えっ」と呟いて、それをゆりが目線で制しているシーンが流れました。
直井の言ったことはすでにゆりが第三話で予測している内容です。
それを聞かされて今更日向が驚くのかな、という疑問を抱いてしまいます。
むしろゆりと日向の間には、「満足したら消える」というルールに関して、この二人だけで通じる別の理解があって、それで驚いたのではないかな、と。
そして、ゆりが直井の「催眠術」に怯えたのは、それによって「成仏」することではなく、「催眠術」によって彼女の弟妹たちと出会う可能性だったのではないかな、と。
それにしてもゆりの大きい方の妹とユイ、似てますね?。


「お前以外の何を認めろっていうんだよ」

音無「頑張ったのはお前だ! 必死に藻掻いたのもお前だ! 違うか! 分かるさ。ここにもお前もいるんだから、お前以外の何を認めろっていうんだよ。俺が抱いてるのはお前だ。お前以外にない。お前だけだよ」

この世界に来る前の音無は熱血教師だったのでは、と思えてきました。
それはともかく、どうやら生前の悔いを精算できたらしい直井はあのままこの世界から消えるのかな、と思ったのですが……

直井「神は落ちない。うわぁ?」

次回予告を聞く限りでは、どうやら消滅を免れたようです。(しかもギャグ要員?)
あの抱擁と熱い台詞ですっかり音無に懐いちゃって、だから居残りを決めたのかなあ、と思いました。
つまり、直井が満足するためには音無が何らかの形で必要、と。

※その場合、ツンデレの方向で、そして「かなで」と張り合う方向性でお願いします(笑)。

ところで、直井が得たという「神」の地位。これは自称なのか、本当に何らかの権能を獲得したのか。まあ、前者なのでしょうけれど。


[22-05-08]
文責・てんま