『D.C.III ~ダ・カーポIII~』感想

第4話「いつまでもいたいところ」感想

幼馴染みは敗北フラグ――
とはよく言いますが。
何だかすでに勝利を収めちゃっているようにも見える今回の姫乃さん。
ああいう風に言われて、期待するな、という方が酷なわけで。
兄さんも罪な人だよね。

というわけで、今回も原作との異同を踏まえつつ、感想を書いてみようかな、と。

感想その一。
葵ちゃんと毒。

立夏「んーと、人の心を読める女の子とか、完全記憶能力を持った女の子とか?」
葵「さすが立夏さん。そんな設定を一瞬で思いつくだなんて、なんて可哀想」

生き生きとしてますね、葵ちゃん。
さすが、新聞部のことを「みんなでお茶を飲みながら、立夏さんのおもしろ設定を聞くための部活」(ドラマCD Vol.2)と認識していただけのことはあります(笑)。
とても楽しそうに毒を吐いてます。
毒というかじゃれているというか、立夏をかまったり、立夏にかまってもらうのがとても嬉しいんだろうな、と。

ところで。
葵ちゃんの反応に対する立夏の切り返し、

立夏「おいこら下級生。これは文献に載ってたことで、あたしの前世とは関係ないから」

「前世」の部分にはツッコミを入れなくて良いのかな?(笑)

それにしても。
もし風見鶏編がないなら、アニメの立夏は可哀想な子扱いのまま終わっちゃいそうな勢いです。

感想その二。
前の学園長の写真。

前学園長の写真を見て「さくら!」と驚く清隆。
驚くポイントそこですか。
学園長が幼女であることにまずは驚こうよ。

そして、

立夏「さくら、さくら……。なんか、引っかかるわね」

立夏がうんうん唸っていたこの時、皆が清隆に注目している中、さらだけが立夏のことをじっと見つめていました。
これはもう、 立夏×さら が来そうな予感。
……じゃなくて。
原作ではこの場面は以下のように描写されていました。

「それにしても、芳乃さくら、か。」
「なんだろう? すごく引っかかる名前だった。」
「他のみんなもそうなのか、みんな喉に魚の骨が刺さったような微妙な顔をしていた。」
「姫乃『私も聞いた時、どきっとしちゃいました。初めて聞いた名前だと思うんですけど』」

さくらの名前を聞いた瞬間、この場に居合わせた全員がその名前に引っかかりを感じていた――と原作では描写されているのに、アニメでは立夏が戸惑った表情を見せていただけでした。
るる姉と清隆は同じ苗字であることに驚いていただけ。
(清隆はそれに加えて知り合いの幼女と同じ名前ということでも驚いていましたね。)
姫乃と葵ちゃんは清隆を注視し、さらは立夏を見つめている――それがアニメでの新聞部一同でした。

風見鶏編にも関係するこの辺りの描写をカットしたというのは、やっぱりそういうこと(=風見鶏編無し)なのかなあ。

ちなみに「芳乃」という苗字について。
いくつかの苗字検索サイトにあたってみたのですが、この組み合わせの漢字では1件もヒットしませんでした。
日本ではかなり稀少な苗字――
おそらくは『D.C.』世界のために独自に創った苗字なのじゃないかな。

原作では、

「吉野や芳野などと違って、世間一般ではあまり見ない字ではあるが、俺の生まれ故郷の島ではそれほど珍しい姓ではない。」
「遠縁の親戚とかもいたはずだから、島の中で何軒かの芳乃家があったはずだ。」
「昔はだから、姓じゃなくて屋号で呼び合ったりとかもしていたらしいけど……。」

とあります。
つまり、「芳乃」という一族は初音島だけでひっそりと生き延びてきた人々。
『D.C.』シリーズで芳乃の名を冠した人々のことを思い巡らせると、何か深いものを背負った一族として設定されている――
と、そんな風にも思えてきますね。

感想その三。
またカットされた。

今回のラスト。
姫乃と清隆のやり取り。
原作では、直後にさらがやって来てヤキモチを焼く展開になるのですが。
前回に引き続き、ま~たカットされましたよ、しっとするさら。
(せんぱいのば~か)と「唇を尖らせながら」「小さく呟」くさらが見たかったのになー。

感想その四。
清隆。

原作では清隆には声もないし、顔グラフィックがないので表情だってわかりません。
ハプニングに対しても、地の文を見る限りでは冷静に状況を分析したりしていますから、冷静沈着な性格――という印象があったのですが、アニメで第三者的視点で見た場合、実際は動揺しまくり、赤面しまくりなんですね、清隆。

というよりも――
ああ、そうか、風見鶏編の清隆のイメージが強いんだ。<冷静沈着
ヒーローとして八面六臂の活躍を見せていましたからね、風見鶏の清隆。
(ただし、憔悴しきったせいで陥穽にはまった姫乃編は除く。)
そもそも。
カテゴリー5の魔法使いが世界に五人。
ということは、可能性だけで言えば、風見鶏編の清隆は世界第六位の魔法使いなのかも知れないんですよねー。

清隆がとても格好良い。
それが風見鶏編にこだわる理由なのです。

〔平成25年1月28日/文責・てんま〕

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