「ボクは……スザク、ボクは……ブリタニアをぶっこわす!」
NA『日本は帝国の属領となり、自由と、権利と、そして、名前を奪われた。
エリア11。
その数字が敗戦国日本の新しい名前だった。』
ルル「ボクは……スザク、ボクは……ブリタニアをぶっこわす!」
▼第一話冒頭のシーンです。
怒りに打ち震え、瞳を燃やすルルーシュを見た瞬間、「おおー♪」と思っちゃったんですよ。祖国への愛情か。いいね、と。
これが運の尽き(その1)でした。
時々作画が崩壊して手足が異様に伸びたりもしますけれど、さらに、ルルーシュについては誤解していたと今では知っていますけど、それもほとんど気にならないくらい、このアニメに嵌っております(笑)。
「うちのルルちゃんは本当は真面目な子なのに」
シャーリー「頭いいのに、ルルは使い方おかしいんです。ちゃんと勉強すれば成績だって。ねえ」
ニーナ「……」
ミレイ「『うちのルルちゃんは本当は真面目な子なのに』……かーわいいねえ♪」
シャーリー「(頬染め)……ちょっと会長……」
確かに『かわいいねー』です。運の尽きその2(笑)。
しかし、後の回で運の尽きその3とその4がやって来ることを、この時点ではまだ知らなかったのでした。
「ブリタニアを憎むブリタニア人」
ルル「なあ、ブリタニアを憎むブリタニア人はどう生きればいい?」
▼「あれぇ?」と思った瞬間です(笑)。
祖国を愛する日本人じゃなかったのか、君は、と。
確かにルルーシュはブリタニア人の学校に通っています。だけど、それはいつか国を回復する時のための方便で、色々と偽ってブリタニア人社会に潜り込んでいるのだ、と……そう思っておりました。サンライズアニメの前例でいうなら、『ガンダムW』のヒイロのように。
だけど、ルルーシュは日本人ではありませんでした。
(そもそも「ルルーシュ」という名前自体アレですが、そこはホラ、あだ名とか偽名とか色々都合良く頭の中で変換していたのですよ/笑)
別の理由でブリタニアを憎んでいるから冒頭の「ボクはブリタニアをぶっこわす!」宣言に繋がるわけで、愛国心ゆえの発言ではなかったようです。
ルルーシュのブリタニア破壊宣言の動機については、後の回で補完されていきます。
そして、祖国への愛というテーマについては、ルルーシュ以外の人物が担当するようだということも、後の回でわかったのでした。
「ルルーシュ・ディ・ブリタニアが命じる」
ルル「ルルーシュ・ディ・ブリタニアが命じる。貴様たちは……死ね!」
軍人「……んふふふふふ! イエス! ユアハイネス!」
(中略)
ルル「手に入れた。力を。だから」
▼自分が殺した軍人たちの死体を見下ろし、口元をV字形に刻んで酷薄な微笑を浮かべるルルーシュ。
そういえば第1話のタイトルは『魔神が生まれた日』でした。
つまりこの時にルルーシュは魔道に堕ちた、ということなのでしょう。
人の皮は被っていても、心の中は饐えた臭いを発するような魔界の住人……人にあらざるもの。
……というのが、第1話のラストを見た時点での感想でした。
後にこの感想は修正することになるのですが、ともあれ、権力への飽くなき欲望、あるいは破壊へのどす黒い情念に、現時点(第4話)のルルーシュは囚われているように見えます。
その彼が主人公のこの物語は、明らかにピカレスク・ロマンです。この先どうなるのか、楽しみですね。
ところで、ルルーシュの発揮した、人間から自由意志を奪い、思うさまに操る“力”は、ファンタジー的に表現するならば、“魔”の力でしょう。“光”や“神”とは正反対の属性です。
ですから、ルルーシュに“力”を与えた緑髪の少女──彼女は天使のような見かけとは違う存在なのかも知れませんね。
[18-10-29]
文責・てんま