さあ、見るがいい、キース・アニアン!

シロエ「見てますか、キース・アニアン。ここがどこだか分かります? フロア001、あなたの揺りかごですよ。今から楽しみです、これを見るあなたの顔が。面白いことになるでしょうね。その時はステーションの連中にも見せてやりたい。マザー・イライザの申し子、その鉄面皮が崩れるところをね。僕はあなたを人形だと言った。機械仕掛けの操り人形だと。その僕も驚きましたよ。まさかこんなものが待ち受けていたとはね。さあ、見るがいい、キース・アニアン!これがあなたの……」

まさかシロエの声がまた聞けるとは、思ってもいませんでした。まったくの不意打ちです、今回は。
シロエ・プロデュースの映像は最後まで続かず、画面は砂嵐状態になってしまいます。
この時に、おそらくシロエは捕まったのでしょうね。
キースもそのことを思い出したのでしょう、画面から顔を背け俯いた彼の横顔がとても寂しそうに見えました。
同時に、真実を知ることができなかったことへの落胆も多少は含まれているのかな。
今回のラストで、わざわざマザー・イライザの元へ出かけようとしているくらいですし。

マツカ「アルテメシアが陥落したようです」
キース「らしいな」
マツカ「こんな時に一体どこへ」
キース「墓場だ」
マツカ「墓場?」
キース「過去の眠る……墓場だ」

アルテメシアがミュウに占領されたというのに、「らしいな」と他人事のように嘯くキース。
そんなキースの態度にむっとしているマツカ。
どうやらマツカはミュウではなく、地球側の立場に身も心も置いてしまったみたいですね。
「地球側」というよりも、「キースのそば」に自分の居場所を見つけたという感じかな。
キースがナスカに降下する際、マツカはキースに背後を任され、いわば彼の命を預けられました。
正体の露見を怖れて辺境を逃げ回り、孤独に日々を送っていたマツカです。それだけに、あの時マツカは「全幅の信頼をキースから寄せられている」という鮮烈な感動を覚えたのではないかな、と思います。
原作のマツカは何度もキースと衝突し、彼を憎み、その心を疑う描写をされていますが、アニメ版では二人の間にはすでに深い信頼関係が築かれているように見えます。
仲良くなるのがちょっと早いよ、と当初は首を捻ったりもしましたが、今では、原作のあのラストを迎えたキースとマツカがその記憶をぼんやりと残したまま転生した姿がアニメ版のキースとマツカである、と思うことにしています。
つまり、「何だかよく分からないけれどこいつは信頼できる」とお互いぼんやりと思っている……そんな感じ。幸せな妄想です(笑)。

ところで、キースの台詞にある「墓場」ですが、彼はどういう意図でこの言葉を口にしたのでしょう。
墓場というからには、「誰かがそこで死んでいる」わけですよね。
「シロエの墓標」という意味で使ったのでしょうか。
それとも予告のナレーションがヒントになっているのでしょうか。

テラズ・ナンバー5と対峙するジョミー。マザー・イライザと対峙するキース。自らの過去に今、訣別の火が放たれる。
ジョミー「ここから……すべてが始まった」
キース「ここで……すべてを終わらせる」

つまり、「墓場」というのは「マザー・イライザ」そして「自らの過去」の「墓場」をこれから作りに行くぞ、という意思表示? 何しろ「すべてを終わらせる」と言っているくらいです。
ただ、その場合、なぜそこまで「マザー・イライザ」および「自らの過去」との訣別を望むのかがよく分かりません。
なぜなら、もし次回、マザー・イライザを破壊するとしたなら、それはSD体制への紛れもない反逆なのですから。

ともあれ、次回も楽しみですね。

[19-08-04]
文責・てんま