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街道が整備されているというのは、要するに馬車で通っても震動が少ないということだ。ガタガタ派手に揺れられたら、乗物酔いで旅情を味わうどころではない。
肩口に心地よい重みを感じながら、フィンはそんなことを考えていた。
耳元ですうすうという慎ましやかな寝息が聞こえてくる。
ラケシスがフィンの肩にもたれて眠っているのだ。喋り疲れたのか、王女は不意におとなしくなったかと思うと、いつのまにか寝入っていた。
寝顔がとても愛らしい。
(安心しきった感じだけど──女の子がこんなに無警戒で良いのだろうか)
そう思いつつ、チラチラと何度も王女の寝顔を盗み見てしまう。けれど、馬車の周囲を固めるクロスナイツの面々の注ぐ視線がそろそろ痛くなってきた。