4
最近の俺はシャナン王子に稽古をつけるのが日課となっている。
何しろ子供とはいえオードの直系。シャナン王子の成長に伴い、彼とまともに遣り合える剣士は段々少なくなってきていたのだ。
そんな俺たちから少し離れた場所に腰かけて眺めながら、茶々を入れてくる奴らもいる。アイラとブリギッドだ。
「惜しいっ、もう少し間合いを詰めていたらホリンをざっくり斬れたかも」
「ホリン、真剣じゃなくて命拾いしたね」
などなど、こいつら、息もぴったりに酷いことを言いやがる。
でもまあ、この二人は一緒に俺たちの稽古を見学しているうちに打ち解けてきたらしい。孤高の存在に近かったブリギッドにとって良い傾向だ。
……それにしても、保護者であるアイラがシャナンの稽古を気にするのはわかるが、ブリギッドまで日参しているのはなぜだろう。
稽古を終え、シャナンたちと別れてから、俺はブリギッドにそのわけを尋ねることにした。
まあ、大体の目星はついていたが。