2
リュナンは甲板の上でぼんやり空を見上げていた。
その傍らにはエンテが腰をおろし、恋人の肩に頭を預けていた。
「ねえ、エンテ」
リュナンが思い出したように言った。
「はい?」
エンテは公子に寄り添ったまま、目だけを彼の方に向けた。
「そういえばウエルトへ渡る航海の途中のことなんだけど──」
公子は途中で言葉を切った。怪訝に思ったエンテがふと見ると、彼の頬が僅かに赤らんでいた。
(どうなさったのかしら?)
疑問に思いながらもリュナンの言葉の続きを待つ。
「時々、退屈したサーシャがペガサスに乗って空を飛んでたんだ」
「はあ」
それは知っている。実のところ、エンテもサーシャの後ろに大抵乗っていたのだから。彼女はペガサスの背中をすっかり気に入っていた。
「それでね、エンテ。ペガサスの背中にサーシャ以外の人影を見ることがよくあったんだ。それは大概エンテだった」
「リュナンさま、それは……」
何て言い訳しようかしら。思わず言いよどんだエンテだったが、
「やっぱり、君に会いたいっていう気持ちが幻を見せていたんだろうね」
真顔で、情感たっぷりにリュナンが言った。けれど──
「ぷぷっ」
思わずエンテは吹き出してしまった。
「……エンテ、ここは笑うところじゃないんだけど」
とても情けなさそうな表情と声でリュナンが抗議した。
「ご、ごめんなさい」
笑いの衝動を懸命に堪えながら、エンテは謝った。
「あの、これはね──」
ふくれっ面のリュナンに向かって、エンテはサーシャとの空中散歩のことを語り始めた──
……2は出てくれるのでしょうか? ぜひプレイしたいです。数百年後等、大きく時代を隔てた作品ではではなく直接の続編だったら、サーシャに素敵な恋人ができると嬉しい。
ところで、サーシャの持つカリスマというスキルは誰に対しても支援効果を与えるものです。
支援効果の意味が「好きな人が傍にいるから頑張る」ということなら、カリスマとは「誰からも好かれる」才能ではないでしょうか。
ですから、サーシャが誰かと仲良くしている場面を書く場合、誰が相手であっても(たとえ何らかのイベントがその相手との間で存在しなくても)不自然ではないと思うのです。
……というのが上記のお話のコンセプトのひとつでした。